「墓じまい」について考えてみませんか〜墓じまいの基礎知識〜

お盆の時期が近づくと、お墓参りの予定を立てる方も多いのではないでしょうか。
その一方で、「墓じまい」という言葉を、ニュースやSNSでよく見かけるようになりました。実際、ここ10年ほどで情報が倍増したというデータもあり、気になる人が増えているようです。今のところ、墓じまいを具体的に検討するまでには至らないものの、将来のことを考えて頭の片隅に残っている、なんて方もいらっしゃるかもしれません。今回は、お盆シーズンに考えたい「墓じまい」についてのお話です。

「墓じまい」とは? 〜言葉の意味と増加の要因〜

「墓じまい」という言葉が使われるようになったのは、いまから7〜8年前のことだといいます。改めて、言葉の意味と墓じまいの増加要因について見てみましょう。

「墓じまい」の意味

墓じまいとは、いまあるお墓を撤去・解体し、更地にして永代使用権を返還することをいいます。混同されがちな言葉に「改葬(かいそう)」がありますが、墓じまいとは意味も目的(手続きも含む)も異なります。改葬は、すでに埋葬されている遺骨を取り出し、現在の墓所から別の墓所へ移す行為で、法的な手続きも伴います。それぞれを簡単にまとめると、墓じまいは「お墓の片付け」、改葬は「お墓のお引越し」です。ただこの2つ、意味や目的は違っても、切り離せない関係にあります。というのは、墓じまいをしても、取り出した遺骨をそのままにするわけにはいかないからです。そのため、通常は墓じまいの一環として改葬も行われます。

墓じまいを選択する人が増えている要因

墓じまい増加の2大要因とされているのが、「核家族化」と「加速する高齢化」です。

お墓を継いでくれる子どもがいない、いても離れて暮らすためお墓の管理を頼めない(=負担をかけられない)、自身が高齢となりお墓参りもままならなくなってきた、という社会課題の一端が垣間見えるような切実な現状があります。まだ元気なうちに手を打っておこう、そんな思いから墓じまいを選ぶケースが増えているようです。

墓じまいが増加の一途をたどる背景には、お墓に対する価値観の変化もあります。かつてお墓は代々受け継いでいくものという考え方が主流でした。しかし、いまは納骨堂や樹木葬など供養の仕方も多様化しています。先祖代々のお墓にとらわれない、現状に即した選択ができるようになったことも墓じまいの心理的なハードルを下げているのかもしれません。

「墓じまい」の流れ

ここからは、「墓じまい」の流れを具体的にご紹介しましょう。完了までの工程は大きく分けて8つ。順に解説していきますが、まずは、いちばん気になる「費用」の相場について紹介します。

墓じまいの費用の相場

墓じまいの費用の相場は、平均30万円〜300万円ほどといわれています。なぜこんなに幅があるのかは、墓じまいの流れを見れば理解しやすいかもしれません。続いて墓じまいの流れを見ていきましょう。

墓じまいの流れ

墓じまいの8つのステップについて、順に解説します。

①親族の同意を得る

不要なトラブルを避けるためにも、親族間で話し合い、事前に同意を得ることはとても重要なことです。

家族・親族間で行うものであり、法的な手続きなどが不要であれば、基本的に費用はかかりません。

②必要書類・手続きの確認

改装には、自治体ごとの手続きが必要です。ただし、地域によって手続き方法が異なるため、該当自治体のホームページなどで必要書類や手続きの方法を確認する必要があります。基本的には、確認作業のみの段階で費用はかかりません。ただし、必要書類を郵送してもらう場合は、送料が数百円ほどかかります。

③墓地管理者へ改葬の意思を伝え「埋蔵証明書」の発行を依頼する

墓地管理者へ改葬の意思を伝、「埋蔵証明書(埋葬証明書)」の発行を依頼します。埋蔵証明書(埋葬証明書)とは、現在の墓地に遺骨が埋葬・納骨されていることを証明する書類で、「改葬許可証」取得のために必要です。

<墓地管理者とは>
*寺院墓地:住職
*公営・民間霊園:霊園管理事務所
*共同墓地:墓所の管理組合、地域の代表者など
※墓地管理者がわからない場合は、墓地所在地の自治体に問い合わせる方法もあります。

なお、この手続きにおいての費用相場は、埋蔵証明書(埋葬証明書)は無料〜、離檀料は無料〜20万円程度が目安です。

※埋蔵証明書(埋葬証明書)は基本無料ですが、霊園や寺院によって異なるので必ず確認してください。

加えて、寺院墓地の場合は離檀料が発生することもあります。離檀料は法的な決まりごとではないので、支払いの「義務」はないのですが、お世話になったお礼の気持ちとしてお渡しするのが慣例となっています。離檀料の目安は通常の法事や法要で包む金額の2〜3倍程度といわれています。

公営・民間霊園の場合は、墓じまいの旨を連絡するだけで費用は発生しません。

④新たな納骨先を決める

遺骨の処分は法律で定められており、勝手に廃棄するのと犯罪になります。なので、お骨を保管してもらう場所を決める必要があります。近年人気が高まっているのが、永代供養です。

永代供養とは、一定額を支払うことで、寺院や霊園などが長きに(=永代に)わたり遺骨を管理・供養してくれる形態のこと。宗派や身内の有無を問わないことがほとんどなので、基本的には誰でも申し込みが可能です。

新しい納骨先が決まり、契約を完了して「永代使用許可証」を得たら、「受入証明書」の発行を依頼します。受入証明書は他の墓所から取り出した遺骨の受け入れを証明する書類で、「改葬許可証」取得のために必要です。なお、納骨などにかかる費用相場は5万円〜250万円程度。

※価格差が大きいのは納骨タイプなどにより異なるからです。いくつかのタイプの費用の目安を以下に紹介します。

・新規でお墓を建てる場合:80万円〜250万円
・樹木葬:20万円〜80万円(個人用・家族用など種別で価格が異なります)
・納骨堂は10万円〜150万円(施設、形式などによって価格が異なります)
・合祀墓(共同墓):5〜30万円

⑤改葬許可証の取得

現在の墓所がある自治体から「改葬許可申請書」を取得します。入手したら必要事項を記入し、「埋蔵証明書(埋葬証明書)」と「受入証明書」を添えて現在の墓地所在地の自治体に提出します。必要書類3点を提出すると、「改葬許可証」を発行してもらえます。この手続きにかかる費用相場は数百円〜1,500円程度。

これは、改葬に必要な「埋蔵証明書(埋葬証明書)」「受入証明書」「改葬許可証」の発行に必要な経費です。

⑥遺骨の取り出しと閉眼供養

現在の墓所から遺骨を取り出し、「閉眼供養」を行います。閉眼供養とは、いわゆる「魂抜き」のことで、お墓に宿った故人の魂を抜き、ただの石に戻すための儀式です。事前に住職に依頼する必要があります。費用相場は3万円〜10万円程度。お墓のなかにある遺骨の数で変動することもあります。

⑦墓石の撤去・解体工事と使用権の返還

一般的には、墓石だけでなく、お墓の基礎(土台)も解体し、更地に戻してから使用権を返還します。墓石の撤去・解体工事は石材店に依頼するのが通例です。費用相場は、20万円〜。

これは、「墓石の処分にかかる費用」と「区画を更地にする費用」です。相場は1㎡あたり10万円〜15万円ほど。お骨の取り出しも石材店に依頼する場合は、別途作業料として3万円〜5万円程度かかります。

⑧新しい受け入れ先にご遺骨を納める

新しい受け入れ先にご遺骨を納めます。事前に納骨日程を相談し、具体的な日時を決めておかなければなりません。必要に応じて法要の依頼も。納骨時に、「改葬許可証」を提出します。法要を行う際に必要な費用相場は3万円〜10万円。お寺によって異なります。

ここまでお伝えした費用相場はあくまで目安です。具体的な費用については、必ず事前に確認してくださいね。

「墓じまい」についての疑問点と注意点

最後に、墓じまいに関する疑問点と、墓じまいをする際の注意点について見てみましょう。

「墓じまい」に関する疑問点

墓じまいに関する質問で多いのが次の2点です。

Q.「墓じまいをしないとどうなる?放置した場合は?」

お墓を継ぐ人がおらず、手続きがないままで放置されている場合は、お墓のある場所によって対処が異なります。

寺院の場合は、無縁仏として合祀墓に移さるのが一般的です。事前に確認されるケースがほとんどですが、身寄りがわからない、連絡先が分からないままであれば、期限を決めて実施されることもあります。あとで気がついたとしても、合祀されてしまうと、遺骨を取り出す(改葬する)ことはできなくなります。

公営墓地などの場合は、血縁関係者に承継意思を確認したり、未納となっている管理料を請求することがあります。法定手続き後に、墓所の撤去費用の請求などを血縁関係者に行うことも。いずれにしても、あとになって、さまざまな問題が起こる可能性があります。

Q.「墓じまいにかかる費用を用意できない…」

ひとりで抱え込まず、まずは家族・親族に相談すること。費用の負担をし合うだけでなく、親族のお墓に入れてくれるケースも見られます。まだそんなに多くはないものの、自治体によっては墓じまいの補助金制度を設けているところもありますから、情報収集することも大切です。

「墓じまい」をする際の注意点

墓じまいをする際は、次の2点に気を配りましょう。

親族間でしっかり話し合うこと

後々トラブルにならないよう、しっかり話し合うこと。単に同意を得るだけでなく、費用負担や墓じまい後の供養方法などもきちんと決めておくことが重要です。

墓所管理者へお礼の気持ちを伝えること

これまで遺骨を管理・供養してくれた墓所管理者へは、墓じまいに至った事情や理由などを丁寧に説明するだけでなく、お礼の気持ちも伝えましょう。代々檀家としてお世話になった寺院などにはとくに配慮が必要です。関係にひびが入るだけでなく、トラブルになる可能性もあります。

親族間でしっかり話し合い、後悔しない選択を!

墓じまいの最初の一歩は、とにかく「親族間での話し合い」です。費用のことなど、親族間とはいえ現実的な厳しいやり取りをすることもあるかもしれません。ですが、禍根を残さないためにも、しっかり話し合い、事前に同意を得てから進めていく必要があります。同時に、墓じまいの流れをきちんと把握しておくことも大切です。お盆の時期にあわせて、親族が集ったら「墓じまい」について話す機会を作ってみてはいかがでしょうか。

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