秋の夜長の過ごし方〜月を愛で、香りと遊ぶ〜
いつの間にか日が暮れるのが早くなり、すっかり秋の気配が漂う季節となりました。厳しい暑さが過ぎ去ったことにホッとする一方で、少しセンシティブな気持ちにもなっていませんか? もしそうだとしたら、日照時間の減少や気温の低下といった、気候変化の影響を受けているのかもしれません。この時期はちょうど季節の変わり目でもあるので、自律神経が乱れやすくなるともいわれています。そんな秋だからこそ、夜時間をゆっくり楽しみながら、気持ちを整えてあげましょう。心と体にやさしい時間の過ごし方をご提案いたします。
秋の夜長とは
「秋の夜長」という言葉はよく聞きますが、具体的な意味まではよくわかっていないという人もいらっしゃるかもしれません。まずは、「秋の夜長」の意味を確認しておきましょう。
「秋の夜長」の意味
「秋の夜長」は、秋が深まるにつれて夜の時間が長くなっていくことを表した言葉です。一般的には、昼と夜の長さがほぼ同じになる秋分(9月23日頃)から、冬の始まりとされる立冬(11月7日頃)までを指します。
「秋の夜長」には明確な定義があるわけではなく、辞書にも「秋の夜長」の掲載は見られません。一般的に、辞書に載っているのは「夜長」のみ。ちなみに、広辞苑によると、夜長とは、「夜の長いこと。また、その頃。多く秋の夜にいう。長夜。<季・秋>」〜広辞苑(第7版)夜長-①より〜
ここで注目したいのは、夜長が秋の季語ということ。その辺りのことを次の項でもう少し掘り下げます。
俳句の季語としての「夜長」
「夜長」または「長き夜」は、秋の季語と定められています。「秋の」と付けなくても、それだけで秋の季語なのです。
江戸時代の俳人・与謝蕪村は次のような句を詠んでいます。
山鳥の枝踏みかゆる夜長哉
意訳:秋の夜長といえば、山鳥を思い出すけれど、これだけ夜が長いと、山鳥も足を踏み変えずにはいられないだろうな。
また、明治の文豪・夏目漱石も「夜長」を使ってこんな一句も。
明けたかと思ふ夜長の月明かり
意訳:もう夜が明けたのかと思うほど秋の長い夜の月は明るいな。
この秋、先人たちの感じた「秋の夜長」に触れてみるのもいいかもしれません。
秋の夜長におすすめの過ごし方
秋の夜長といえば、趣味を楽しむ人が多いのではないでしょうか。読書や映画鑑賞、ゆっくり食事を楽しむなど、お好みの過ごし方があることでしょう。ですが、たまには、違う楽しみを見つけてみませんか?
今回ご紹介したいのは「月を愛でる」と「香りと遊ぶ」の2つです。どちらも、好きな趣味にプラスαでき、例えば、月見+音楽、香り+入浴などのアレンジがしやすく、自由にカスタマイズできるのも魅力。自分だけの楽しみ方を探してみましょう!
月を愛でる
秋は、月が一段ときれいに見える季節。なぜなら、気温が低くなると空気が乾燥し、大気中の湿度が下がることで、「空気が澄んだ」状態になるからです。そして、もう一つ注目すべきが月の高さ。月の高さは季節によって変わるのですが、夏は低く、冬は高い位置にあります。低い位置にあると、地表付近の塵や明かりなどがじゃまをして、きれいに見えません。また、大気によって光が吸収されてしまうため、低い月は暗くなってしまうのだとか。ということは、月が高い位置にあるほど好条件のように思われますが、「見る(愛でる)」という行為から考えると、一概に良いとはいえないようです。たしかに、高い位置だと大気の影響は少なくなり、くっきりとした月にはなりますが、見るというよりは、天を仰ぐような状態になってしまい、首が辛くなり長時間楽しむのには向きません。その点、秋の月は首に負担をかけるほど高くはなく、かといって低すぎずと、絶妙な位置にあります。そのため、秋の月は愛でるのに、ぴったりなのです。
2022年の十五夜は9月10日(十五夜・中秋の名月)でしたが、2022年10月8日の十三夜にもお月見のチャンスがあります。十五夜または十三夜のどちらか一方しかお月見をしないのはもったいない。好きな音楽を聴きながら、アロマを炊いて香りを楽しみながら、好きなホットドリンクを片手に……ゆったりと月を愛でる時間を設けるのはいかがでしょうか。
香りと遊ぶ
五感の中で唯一、脳に直接伝わるといわれる「嗅覚」。香りの成分が、鼻の奥にある嗅細胞を刺激することで電気信号に変わり「大脳辺縁系」や「視床下部」などへ伝達されます。視床下部というのは、自律神経やホルモンバランスを司る重要な器官。香りはそこに直接働きかけて、心身のバランスを整えることができるとされています。そんなメカニズムを意識しなくても、おそらく多くの人が香りを嗅ぐとリラックスできるとか、身体の調子が良くなるといったことを経験的に知っているのではないでしょうか。ここでは、秋に乱れやすい自律神経を整える効果が高い精油(エッセンシャルオイル)を3つ紹介しましょう。「秋の夜長」にちなみ、どれも夜に嗅ぐと副交感神経が優位になりやすいものばかり。お試しくださいね。
<ラベンダー>
リラックス効果が高いことで知られるラベンダー。副交感神経を優位にし、気分を安定させてくれるため、安眠効果も期待できます。
*おすすめの活用法
布やティッシュなどに精油を1〜2滴垂らします。それを自分の側(寝るときは枕元)に置いてくつろいでみてはいかがでしょうか。ヨガのお供にもおすすめです。
<オレンジスイート>
甘みのあるフレッシュな香りは、古くから老若男女に愛されてきました。ネガティブな気持ちを軽くし、明るい気持ちにさせてくれます。
*おすすめの活用法
マグカップにお湯を入れて精油を1〜2滴垂らすと、湯気と一緒に香りが広がります。読書のときに、机の上に置いておくと◎。これなら、ディフューザーやアロマライトなどをそろえなくてもお気軽に香りを楽しめますね。ただし、飲んでしまうのはNGです。飲用ではないのでご注意を。
<ベルガモット>
アールグレイ(紅茶)の香りづけにも使われるベルガモット。「天然の抗うつ剤」と称されるほど、うつ症状の緩和に優れた効果を発揮すると言われています。
*おすすめの活用法
安眠効果があるので、お風呂で使うのも効果的。お湯に精油を2〜3滴垂らして、よく混ぜて入浴しましょう。1日の疲れもほぐれます。ただし、お肌の弱い方は皮膚に刺激を感じることがあるため、湯船に入れず、お湯を入れたマグカップに数滴たらしたものを、浴室の隅に置くのがおすすめです。
好みや気分に合わせて、香りをブレンドしてみるのもGood!
例)
・オレンジスイート(2滴)とベルガモット(1滴)=シトラスのような爽やかな香りに
・ラベンダー(2滴)とオレンジスイート(1滴)=穏やかでくつろげる香りに
好みのリラックスアロマを探す時間として、秋の夜長を楽しむのもいいですね。
心と体を整える最適な時期、「秋の夜長」をゆっくり楽しむ
「秋の夜長」に明確な定義はなく、一般的には秋分(9月23日頃)から、冬の始まりとされる立冬(11月7日頃)までを指します。ちょうど、季節の変わり目。自律神経が乱れやすい時期です。ゆっくり楽しく夜時間を過ごせば、きっと心身ともに癒されるはず。おすすめの過ごし方は「月を愛でる」と「香りと遊ぶ」こと。秋は月が一段ときれいに見える季節ですし、香りは自律神経のバランスを整えるのに最適。どちらも「秋の夜長」にぴったりな過ごし方です。一度試してみてはいかがでしょうか。
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