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【ウッディラボとは】サスティナブルな時代に生きるウッディラボの役割 ―社長インタビュー

ウッディラボ代表、トキハ産業株式会社 代表取締役 藤川 龍磨インタビュー

ウッディラボの歴史や、商品の魅力についてお聞きしました。

<社長プロフィール>

トキハ産業株式会社 代表取締役 藤川 龍磨
1954年大阪市都島区生まれ。地元の淀川幼稚園、大阪市立城北小学校、大阪市立大宮中学校、大阪府立大手前高校に進学。最終学歴は神戸大学経済学部。卒論のテーマは「宇宙船地球号」の概念を取り入れた経済学者K.E.ボールディングの著書「経済学を超えて-社会システムの一般論」。体育会合気道部に所属。阪急百貨店入社。7年の在籍中に、販売促進部、秘書室勤務。29歳の時に、父が創業したトキハ産業株式会社に入社。39歳で代表取締役に就任。現在に至る。

ウッディラボとは

- 藤川社長がウッディラボの事業を始めたきっかけは?

父が創業したトキハ産業株式会社に入社し、39歳で代表取締役に就任しました。住まいが、木工所であるトキハ産業の工場と同じ敷地内にありまして、小さいころから木材は身近な存在でした。60年以上、「木」のおかげで事業を続けることができていることもあり、木をはじめとする天然素材のすばらしさを感じています。「木」を切ってカタチにすれば「家具」になりますが、もう一つの「木」の良さ=「樹木のエキス」を活かせないだろうかと考えました。ヒバやヒノキの樹液は虫よけになるのは、良く知られていますし、天然の力を生活に取り入れられれば、と思い、トキハ産業の新たな事業としてウッディラボを立ち上げました。

- 天然の力を生かす事業の一環として「ウッディラボ」が生まれたんですね

そうですね。ウッディラボは、天然の力を活かした商品展開をおこなっていて、2012年ごろから、現在の主力商品群となる「天然由来の機能性香料」を活用し、「カビ/細菌の増殖抑制、ウイルス不活性化」商品の展開を始めました。その後、続いて「ダニの増殖抑制」商品の発売に踏み切り、近年にはバイオ(微生物)のちからを活用した商品も加わって、現在に至ります。

― 「ウッディラボ」の方向性をきめたきっかけは?

そもそも、一番大きなきっかけは、2008年に起こったリーマンショックでした。当時は、日本中が大きな不況に陥り、当社も当然影響を受けました。不況を乗り越えながら、将来同じような景気変動が起きたとき、家具だけの取り扱いで良いのかと悩みました。家具は、購入後、長期間使用できる「耐久消費財」です。こうした耐久消費財を扱う製造と小売りだけでは、景気の影響が大きいものです。そこで、身近に手に取ってもらいやすく、使い続けていただけるような日用消耗品の販売を考えました。
ですが、そう簡単には行きませんでした。いろんな取り組みを行いましたが、軌道に乗らず。なかには、当社のコンセプトである「快適空間お役立ち企業」とのズレがあることが気になって、販売中止にしたものもあります。

― 「快適空間お役立ち企業」としてのウッディラボとは?

そうした状況を乗り越える中で、改めてウッディラボとして何ができるのかを考えるうちに、さまざまな発見や気づき、可能性を得ました。もともと弊社は、ドメイン(事業領域)を「快適空間お役立ち企業」と定めていました。樹木のエキス(香り)がどのように快適空間づくりの役に立つのだろうか?と自問自答し、模索を続ける日々が続きました。そんななか、導かれるようにご縁をいただいた、天然由来の機能性香料の驚くべき効果とその大きな可能性を知り、カビ・細菌・ダニの「増殖を抑える力」を活用して人がイヤな害とみなすモノが少ない「快適空間」を実現できるのではないか!と考え、今のような商品展開の基盤ができています。不具合なことがあったからこそ、前に進み、人のお役に立ちたいという気持ちで、ウッディラボ商品を広げたいと思っています。

アレルギー体質だったからこそ、気づいたことがある

- ダニよけシリカをはじめとする主力商品を開発した経緯を教えてください

天然由来の機能性香料を活用した商品の第1弾は、2012年の「カビちゃんバイバイ」と名付けた商品です。カビの増殖抑制に働くもので、お風呂での使用を想定して商品開発を進めました。その後、現在、主力商材の一つである「ダニよけシリカ」を、お世話になっていた技術顧問の方から提案されました。その商品サンプルを見て、これはすごい!と。「是非、弊社でも扱いたい。何とかなりませんか。」とお願いし、特別に流用いただきました。「私のようなアレルギー体質の方のお役にきっと立てる」と直感したからです。

- 藤川社長も、アレルギーにお悩みだったのですね

小学校低学年には小児喘息を抱えていて、癒えた後はアトピー性皮膚炎で苦しみました。体育見学組の内気な幼少・青年時代でしたね。そういうわけで、もともと、アレルギー体質に悩んでいたんです。皮膚炎は、ステロイドなどの塗り薬で治療するのが当たり前だと思っていて、当時は薬を多用していました。以前には知識がなく「アレルゲンを減らす」という発想もありませんでした。天然由来の機能性香料を活用した商品開発や取り扱いをきっかけとして、「できるだけアレルゲンを溜めない」という考え方を知り驚きました。今は、「ゼロにはならなくても、できるだけ減らす」ことを学び、実践しています。

- 「アレルゲンを減らす」という考え方に切り替えてから、現在の体調はいかがですか?

生活習慣を変えてから、今では、薬に頼らず、快適に過ごせるようになりました。最近では、日常でアレルギー症状が気になることは少ないです。ただ、季節の変わり目には、少し症状が出ていたんです。特に、春先や秋にはアレルギー発作が出やすく、肌がかゆくなるといった不快なことがありまして。いろんな理由があると思うのですが、大きな原因の一つが、布団のダニです。

それまで、圧縮袋に入れて寝具を保管していたんですが、取り出してそのまま使うと、症状が出てしまう。夏の間にダニの死がいやフンがたまっていたようで、知識としては理解していたつもりなのに、実践できていなかった。今はしっかりダニ対策をしているので、季節変化による不調もほとんどありません。アレルゲンを減らすのが良い対策であると実感しています。

- 自身で実践されて、快適に過ごせるようになったのですね
そうですね。ちょっとした工夫で、体調管理がしやすくなるんですね。最近はアレルギー症状を持つお子さんが増えていると、知人の保育園園長から聞いています。アレルギーがあると、本人がつらいのはもちろんですが、家族も心配が増えますから、本当に大変だと思います。できるだけ、そうしたご心配のない環境を、手軽につくれるようなお手伝いができればいいのですが。

天然が持つ力を、日常に取り入れる

- ウッディラボの主力商品である「ダニよけシリカ」の魅力について教えてください

ダニよけシリカは、香りの力で、ダニの増殖を抑える働きを持っています。植物には虫をよせつけないといった天然の力があります。そうした機能性に着目して、暮らしに活用している商品です。大きな魅力は、「香り」を使っているという点でしょうか。ダニよけシリカは、香りが届く範囲であれば、そのダニを増やさない効果が得られます。香りは広く漂うので、カバーする範囲がとても広いんです。離れた場所でも、香りがただよっていれば、その働きが期待できるわけです。香りの力はすごいですよ。

ダニよけシリカは、小さい分包になっておりまして、1つひとつが6cm角と小さいから、気楽に使えるのも便利ではないかと思います。枕カバーの中に入れるとか、ぬいぐるみに入れるとか、小さなスキマでも置けるんです。多くの方にとって、アレルゲンは溜め込まない方が良いと思います。こうしたちょっとした場所が影響することもあるので、便利に使っていただきたいです。ちなみに、ダニ対策として、ぜひ同時にカビへの対策にも取り組んでいただきたいです。

- ダニの影響を減らすためには、カビ対策が必要なのですか?

実は、ダニの主な食べ物はカビなんです。小さいダニは、特にカビを好みます。つまり、エサとなるカビが少なければ、ダニも増えにくくなります。ウッディラボでは、ダニよけだけでなく、防カビアイテムも展開しています。カビも天然の力で対策できるので、ぜひ同時に対策してください。

- 香りでダニやカビへの対策になるのは、なぜでしょうか?

香りでダニやカビが増えなくなるのが不思議に思われるかもしれませんが、自然界で当たり前のことなんですね。大自然で生き残るための機能で、「イヤなものを抑える」という、天然の力があります。逆に、生育しやすい環境になるように「好ましいものを引き付ける蜜のような機能」を持つものもあります。草花はそうした天然の力を持っていて、決して、新しい力ではありません。自然の摂理に従って、活用しているだけなんです。
カビの例をとっても、よくわかりますよ。例えば、夏の暑いときに森に行くと、根元はじめじめしていますよね。でも、地表がカビだらけになっているわけではありません。これは天然の力で、カビの発生を抑制しているからなんです。

- ウッディラボの主力商品は「天然由来の香り」が使われていますが、その安全性は?

ダニよけシリカは、天然由来の香りとしておりますが、天然100%の精油を使っているわけではありません。安全性を確保し、安定した商品を供給することを考えると、必ずしも天然100%が良いというわけではないからです。ウッディラボでは、天然由来の機能性香料として、学術的に分析されたものを使用しています。
もともと、老舗の香料メーカーさんが食品の香りづけのために開発されたものがベースになっているのですが、その香りはダニやカビを増やさないという力がとても強いことがわかりました。ちなみに、ダニよけシリカは、もともとは1種類の香りしかありませんでしたが、さらに機能性の高い香りになるように香料をブレンドして、改良しているんです。この改良も、安定性、安全性を重視して行ったものです。防カビ商品も、2種類しかありませんでしたが、今は種類が増えています。どれも、安全性が高く、IFRA(国際香粧品香料協会)でも高いレベルの評価を受けているものです。

※IFRA(The International Fragrance Association)
IFRAは消費者や環境に対して、安全性の高い製品の供給を行うことを目的に構成される国際団体。1973年ジュネーブで設立。香粧品香料業界(フレグランスなど)において、厳格な化学プログラムを通じて、安全性を保証する自主管理団体として国際的に認められている。公式HP  https://ifrafragrance.org/

― 天然由来で、機能性のある香りはすごいですね。
ただ、なかには香りが気になる方もいらっしゃると思うのですが…

香りの力を使う以上、商品の香りが苦手な方もいらっしゃるかもしれませんね。ただ、そうした方にも、できるだけ対応できるような商品開発も考えているところです。とはいえ、機能性“香料”の働きによるものですから、今のところ、香りのバリエーションを変えて、お好みのものをお選びいただければと考えています。香りの濃度が強いほど、広がりやすく、効果が期待できます。香りは空気よりも重いので、下に降りていきます。本来は、高い位置に置いていただく方が有効な使い方になります。どうしても気になるのであれば、鼻より低い位置に設置してみて下さい。高い位置に置くよりも香りが気にならなくなると思います。製造後もパッケージ内で香料は飽和状態まで揮発しますので、2~3日たちますと香りは落ち着いてきます。開封直後は少し香りが強いかもしれません。もしくは、対象物に、多い目に使用して、一旦、回収するという方法もありますよ。

― 香りが少し気になる方でも、上手に活用する方法があるのですね

香りの働きで、ダニやカビ対策になりますから、一度にたくさん使えば、一時的には高い効果が期待できます。私自身がよくやることなのですが、例えば宿泊先などでダニやカビの不安がある場合、ダニよけシリカを一袋分全部出して、一時的に、布団に敷き詰めます。2~3時間程置いておくとダニへの効果が出ますのでそのあと回収してしばらく置いて香りが落ち着いてから眠りにつきます。ジップ式のパッケージだから、元の袋に戻せばよいですし、また別の場所でも使えます。ダニ対策としては、ある程度の濃度が必要ですので、こんな風に工夫して使う方法もあります。

ビヨンドSDGs。先駆者として、まずはウッディラボの第一歩から

- ウッディラボの商品は、人にも環境にも優しいものばかりですが、以前から環境への関心があったのでしょうか?

実は、大学時代(神戸大学経済学部)に卒論のテーマとして選んだのは、「宇宙船地球号」の概念を取り入れた経済学者K.E.ボールディングの著書「経済学を超えて-社会システムの一般理論」でした。以前から、大自然…天からいただいた天然の理に着目していました。もちろん、すべて天然のものが良いと言っているわけではありません。薬剤を否定するつもりもありません。緊急事態の時には必要なこともありますから。ですが、日常の中では、“天然の原理”を活用する方が良いのではないかと思います。
ウッディラボとして、また私自身が、「大自然の摂理に回帰しませんか?」とお伝えしているのかもしれません。

― 近年では、「ナチュラル志向」「自然派」を意識する人も増えていますよね

天然の働きは本当に素晴らしいものです。現在は、バイオ商品も展開しておりますが、これは、枯草菌という天然が持つ、大きな力を活用したものです。
大自然の中では、大草原があって、いたるところに動物や虫などの生物が生きています。すると、たくさんのフンや死がいが出るわけですが、そのままだと、いっぱい地表にそうしたものが残っているはずですよね。ですが、実際にはそうではありません。それは、地表から30cmくらいの層にいる、枯草菌が持つ「土にかえす力」が発揮されているからなんです。
海のなかも同様で、一定のきれいさを保っているのは、枯草菌の仲間の力が働いているから。科学的な消臭剤を使わなくても、そうした天然の力で臭いのモトを断つことができるわけです。香りや微生物などの、天然由来のものを上手に生活に取り入れるというシンプルな生き方です。新たな時代に、求められる方向性、価値観ではないでしょうか。

- 最近注目されている、SDGs(持続可能な開発目標)の考え方ですね

近年、注目されている「SDGs」ですが、ブームのように広がりましたね。日本では、つい最近のことですが、ウッディラボは、それ以前から同様の考え方で事業を進めております。自身の現体験として、小児喘息やアトピー性皮膚炎で苦しんでいたことや、大学時代に地球のことを考えていたことが、大きな土台になっています。有限の社会のなかで、いかに天然の力を活用していくか、人生における1つのミッションとして、地球や健康に配慮した社会に変えていきたいと考えています。ウッディラボを含め、トキハ産業のビジョンとして、SDGsが広がる前から、ずっと考えとして取り入れてきました。

- これからのウッディラボが目指すところは?

SDGsへの注目が集まったことは、とてもうれしいことです。これは、ウッディラボの背中を押してもらっているようにも感じます。今後は、パッケージなどにも、環境への配慮を取り入れたいと考えています。まずは、できることからスタートしていきます。
小さなことでも、先例をウッディラボが作り、多くの方に利用いただければ、今後は、大手が参入してくるかもしれません。大手が取り組めば、さらに社会全体に広がります。結果として、社会の考え方がシフトし、世の中が、とても良くなるのではないでしょうか。
持続可能な開発目標から、さらに一歩進めた「Beyond the SDGs」に向けて、先駆者となって進めていきたい。まずは、ウッディラボが最初の一歩を進めます。社員一丸となって、同じ意識で、未来を見据えたい。多くの方にウッディラボの取り組みが伝わるよう、さらに尽力したいと思います。

インタビュアー・文:みのうかなこ

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