北欧に学ぶ冬の暮らし〜「太陽」を味方にした暖かい部屋づくり〜

美しい紅葉の秋が過ぎると、自然界からは鮮やかな色がぐっと減ります。また、あっというまに夜のとばりが下り、夜明けは遠のいていきます。冬が寒いのは、気温が低いだけではなく、風景の色彩と太陽の光が少ない季節だからなのかもしれません。

世界には、日本よりも冬の長い地域があります。北欧もそのひとつ。そこには、家にこもりがちになる冬を心地よく知恵と工夫が根づいています。今回は、北欧の国々の伝統にならい、暖かい部屋づくりをしましょう。

北欧とは、どこの国を指すの?

そもそも北欧とは、どこの国なのでしょうか。一般的には、欧州(ヨーロッパ)北部にあるスカンジナビア三国(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク)とフィンランド、アイスランドの5カ国のこと。いずれの国も、日本最北のまち・稚内市よりも北に位置し、国土の一部は北極圏内です。

だから、夜になっても太陽の沈まない白夜(びゃくや)が起こります。しかし、それは夏だけ。逆に冬は、朝になっても太陽の登らない極夜(きょくや)となります。驚くことに、冬至あたりは日の出が9時ごろ、日の入りが15時ごろなのだとか。この極端に短い日照時間が、鮮やか色をアクセントにしたインテリアや優れた照明器具を生み出したともいわれています。

冬の暮らしを見た目にも温かく。明るい色を差し色に

北欧インテリアをひと言で表すと、シンプル&ナチュラル。機能美あふれる天然木の家具、綿や麻など天然素材のファブリックは、日本の住まいや暮らしにもよくなじむため、人気のあるインテリアスタイルです。注目したいのは「色」。そこには、春を待ちわび、太陽に焦がれる思いが込められているようです。

色と体感温度

ところで、色はさまざまな心理効果をもたらします。たとえば、赤い色を見て暑い、青い色を見て涼しいと感じた経験はないでしょうか。それは気のせいではありません。赤のような暖色と青のような寒色では、体感温度に3℃も差が出るという実験結果があります。ということは、インテリアに暖色を使えば、暖かく過ごせるはずです。

アクセントには、太陽カラーのファブリックを

北欧インテリアの基調色は、白・アイボリー・ベージュ・グレーなどの落ち着いた色です。一方、空間にメリハリをつけるアクセントカラーには黒のほか、グリーンやブルーなど鮮やかな色も使われます。冬におすすめしたいのが、イエロー。暖色であり、諸外国では太陽を表す色です。

どれくらいイエローを取り入れるかというと、部屋全体の5%を目安にします。クッションや絵画、花瓶、食器、テーブルクロスなどをイエローに変えるだけで、空間にぐっとあたたかみが増すはず。手持ちにイエローのファブリックや小物類がなければ、切り花や鉢植えの花に黄色を選んでみましょう。

照明で冬を彩る。やさしいあかりを傍らに

北欧の冬は、極夜が続きます。太陽がわずかにしか顔を出さないわけですから、あかりは欠かせません。室内を照らし、あたためるふたつの「太陽」を見てみましょう。

照明の光

夜明けと日暮れと夜がずっと続くような、北欧の冬。ひとつめの「太陽」は、照明の光です。煌々と輝き、空間を明るくしてくれます。しかし、部屋は明るければいいというものではありません。

北欧らしい照明といえば、光と影。たとえば、シーリングライトは部屋全体を均一に照らすため、陰影のないのっぺりとした明るさになります。それを消して、食卓の上部にペンダントライト、リビングの隅にスタンドライト、サイドテーブルにテーブルスタンド……というように、必要なところにそれぞれ照明を置くのです。そうすると、部屋の中に光と影ができて安らぎを感じられるでしょう。

また、光の色は、部屋の雰囲気にも人の感覚にも影響します。リラックスできるのは、朝日や夕日のようなオレンジっぽい光。照明を電球色にすると、落ち着いた心地よい部屋になるでしょう。

キャンドルのあかり

ふたつめの「太陽」は、キャンドルのあかりです。北欧の暮らしには欠かせないアイテムで、特別な日だけではなく、日常に溶け込んでいるといいます。取り入れたいのは、やはり食卓。夕食のとき、アンティーク調の燭台にキャンドルを灯せば、まるで晩餐会です。このとき、棒状のテーパーキャンドルと円柱状のラウンドキャンドルを組み合わせて、あかりに高低差をつけると、光に表情が出て華やかになります。

食事のあとのティータイムや寝る前のリラックスタイムにも、キャンドルはおすすめです。というのも、キャンドルのあかりには「1/fゆらぎ」のリズムがあるから。つまり、波の音や雨音、そよ風、鳥の声を聞き、蛍の光や星のまたたきを見たときと同じようにリラックスできるのです。

また、キャンドルを灯すと、燃えるときに発生する微量な水分からマイナスイオンが出るともいわれています。しかも、森林や滝が出しているマイナスイオンよりも多いのだとか。キャンドルには、森林浴にも負けないリラックス効果が期待できそうです。

太陽の光を取り入れる。軽やかなカーテンを窓に

太陽のような「色」と、太陽に代わる「あかり」を部屋に取り入れる方法を見てきました。ここでは、本物の太陽を部屋に招き入れる方法を考えてみましょう。まずは、北欧のカーテン事情を探ります。

北欧のカーテン事情

北欧の住まいにある大きな窓は、室内に光を取り入れる「採光」を目的につけられています。だから、ほとんどの窓にはカーテンがついていません。それだけ太陽を切望しているのでしょう。

カーテンとつけるとしても、外からの視線を遮るためではありません。目的は、カーテンをインテリアとして楽しむこと。季節やイベントに合わせてつけ替え、そのときどきの色や柄で部屋を彩るのだといいます。

冬だから、白&薄手のカーテンを

日本には極夜がないとはいえ、冬はやはり少しでも太陽の光を取り込みたいところです。それならば、光がやわらかく透けるカーテンはいかがでしょうか。つまり、「白」や「薄手」の生地を選ぶのです。夏のカーテンのようで寒々しいと感じるかもしれません。ところが、白&薄手のカーテンでも暖かい部屋に仕上げられます。

ポイントは、部屋全体のコーディネート。カーテン単体ではなく、ほかのアイテムとの組み合わせで、暖かい部屋が仕上がればよいわけです。そのためには、素材にこだわりましょう。たとえば、クッションやチェアパッド、ラグ、ベッドカバー、テーブルクロスなどファブリックの素材を、ワッフル生地やファー、ニットといった冬らしいものにするのです。もちろん、色は太陽カラーのイエローをはじめとする暖色を選びます。それだけで、部屋にぬくもりが感じられるはず。日が暮れて、照明やキャンドルを灯せば、さらに暖かな部屋になるでしょう。

北欧の知恵。「色」と「光」と「カーテン」で、暖かい冬を過ごす

北欧の冬は、雪と闇に閉ざされ、室内で過ごす時間が多くなります。だからこそ、色と光の少ない世界を、明るく心地よくする工夫がされてきました。その伝統にならい、太陽のような「色」と太陽に代わる「光」、太陽を透かす「カーテン」を使って、暖かく心地よい部屋をつくりましょう。

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