サスティナブルに暮らしを楽しむ
日々の暮らしを楽しんでいますか。
家族と一緒にごはんを食べたり、愛犬と散歩したり、ご褒美に特別なスイーツを食べたり、野菜や花を育てたり、寝る前のひとときに映画や音楽を鑑賞したりと、人それぞれに小さな喜びや楽しみがあることでしょう。
暮らしを楽しめるのは、あたりまえの毎日があたりまえに続いているから。それは、暮らしを取り巻く自然や社会が健やかでなければ実現しないもの。これからもずっと暮らしを楽しめるように、「サスティナブル」について考えてみませんか。
サスティナブルとは生き方のこと
近ごろ、サスティナブルという言葉をよく見聞きするようになりました。なぜ、いま、これほどまでに関心を集めているのでしょうか。その背景を知ると、理由がわかります。そして、その理由を知ると、「サスティナブルとは生き方なのだ」と気づくことでしょう。
サスティナブルとは?
そもそもサスティナブル(sustainable)とは、「sustain(持続する/ある状態を一定期間保つ)」という動詞と、「-able(…できる)」から成る単語で、英語圏では日常的に使われる形容詞です。日本語では、「持続可能な」「維持できる」と訳されています。
近年は自然(地球環境)や社会、経済と関連して使われることが多くなりました。その背景にあるのが、SDGs(エス・ディー・ジーズ)。それは、日本にサスティナブルという言葉が広まった理由のひとつでもあります。
SDGsとは?
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、Sustainable Development Goalsの略語で、日本語では「持続可能な開発目標」といいます。あらゆる国々と人々が力を合わせ、2030年までに社会・経済・環境の課題を解決して、よりよい世界をつくることを目的に、2015年の国連サミットで採択されました。地球上の「誰も取り残さない」として、誰もが平和で豊かに暮らせるように17個の目標が定められています。
1 貧困をなくそう
2 飢餓をゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
4 質の高い教育をみんなに
5 ジェンダー平等を実現しよう
6 安全な水とトイレを世界中に
7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8 働きがいも 経済成長も
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
10 人や国の不平等をなくそう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさを守ろう
16 平和と公正をすべての人に
17 パートナーシップで目標を達成しよう
「エコ」「3R」「エシカル」との違い
サスティナブルと似たイメージの言葉に、「エコ」「3R」「エシカル」があります。それぞれの違いを見てみましょう。
- <エコ>
ecology(生態学・自然環境)の略語で、環境に配慮すること。エコバッグやエコカー、エコマークなどでおなじみです。 - <3R>
Reduce(ゴミの減量)・Reuse(再利用)・Recycle(再資源化)の総称。Refuse(拒絶/不要なモノを買わない)を加えて4Rということもあります。大量生産・大量消費・大量廃棄をやめて、最適生産・最適消費・最小廃棄へと転換し、持続可能な社会を実現するための取り組みです。資源ゴミのリサイクルはすっかり定着しましたね。 - <エシカル>
英語のethical(倫理的な)に由来する言葉。近年では人や自然環境、社会に配慮した考え方や行動を指します。例えば、フェアトレードのチョコレート、オーガニックコットンの洋服、リサイクル製品、地元の名産品、被災地の特産品などを選んで買っていたりしませんか。それは、人にも環境にも社会にも優しい消費行動として、「エシカル消費」と呼ばれています。
それぞれの意味は少しずつ違うけれど、共通するのは人や環境への配慮。それは、サスティナブルの実現に欠かせないものです。いずれにしても、生活に密着したことばかり。サスティナブルは暮らしの中にあるもの。生き方そのものなのです。
昔ながらの「もったいない」は日本流サスティナブル
いまや世界共通語となったMOTTAINAI(もったいない)。これは、日本流のサスティナブルといえるでしょう。日本の伝統的な暮らしを思い返すと、日本人が思いのほか古くからサスティナブルに暮らしてきたことがわかります。
衣〜仕立て替え
かつては普段もハレの日も身にまとっていた着物。洋服との最大の違いが、一枚の反物からできていることです。縫い糸を解いて反物に戻し、寸法や色を変えて着物に仕立て直したり、羽織につくりかえたりすることを「仕立て替え」といいます。江戸時代から伝わる文化で、現代風に言えばリフォームですね。近ごろは、着物をドレスやスカート、パジャマなどに仕立てる着物リメイクが盛ん。「仕立て替え」が脈々と受け継がれています。
食〜和食文化
2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食;日本人の伝統的な食文化」。特徴のひとつとして挙げられるのが、地域ごとの多彩な食材と食文化が根付いていることです。旬の野菜や、地域の特産物を使った郷土料理が多く見られます。こうした「地産地消」「旬」を取り入れる食文化は、輸送やハウス栽培などにかかるエネルギーを抑えています。また、冷蔵庫のない時代からつくられてきた乾物や発酵食品などの保存食は、食材を無駄にしない工夫から生まれたものといえます。
住〜伝統家屋と住み継ぎ
伝統的な住まいは、その土地の気候や風土を考慮しながら、地元の資材を使って建てられました。和食と同じく「地産地消」だったのです。さらに、室内に風を取り込む窓や欄間、日光を遮る深い軒や庇で夏を涼しく、太陽光を集めて蓄える土間や土壁で冬を暖かく過ごす工夫が施されています。これは、現代の住まいにも引き継がれていますね。増改築しながら先祖代々の家に住み継ぐという文化もまた、サスティナブルです。
いますぐできる9つのサスティナブル習慣
日本の暮らしには、昔からサスティナブルが根づいていました。ここでは、すぐに実践できる9つのサスティナブル習慣を紹介します。
①サスティナブルファッションを心がける
普段あまり意識しませんが、衣類は大量につくられ、売れ残ったものも着なくなったものも大量に捨てられ、環境汚染の原因にもなっています。そこで、製造から廃棄までのプロセスを見直し、地球環境や労働環境を改善しようという取り組みが、サスティナブルファッションです。「リフォームして長く着る」「古着屋を活用する」など、地球にも生き物にも人にも優しいファッションを心がけましょう。
②エコバックや風呂敷を活用する
ビニール袋が有料化した昨今では、日常の買い物シーンで、エコバックはあたりまえになりましたね。品物や量によっては、おしゃれなデザインで現代にもなじむ風呂敷、昔ながらの竹製の市場カゴも便利です。
③マイボトルを持ち歩く
暮らしにすっかり定着したマイボトル。好きな飲み物をいつも手元に置きながら、環境を守れる優れものです。使い捨てを減らせるマイ箸やマイカトラリー(スプーン・フォーク・ナイフなどのセット)もおすすめ。最近はプラスチックを使わない竹製・紙製の自然派ストローもあるので、マイストロー習慣にも注目が集まっています。
④オーガニック製品を使ってみる
オーガニック製品とは、農薬や化学肥料、化学物質を使わずにつくられたもの。食品に多く見られる表示ですが、化学物質を使っていないものも、オーガニックです。なかでも、近年問題となっているのが、香害(こうがい)。合成洗剤や防虫剤、芳香剤、化粧品などに含まれる化学的な合成香料が引き起こす健康被害が広がり、不調をきたす人が増えています。この機会に、自然由来の成分を使ったアイテムを使うことに切り替えてみてはいかがでしょうか。
⑤エシカル消費を心がける
例えば、サスティナブルファッションに関心を持ち、オーガニックコットンの衣類の購入を考えたとします。このとき、どんな国でどんなふうに栽培された素材を使い、どんな人たちが縫製しているのかといった商品の製造工程、メーカーの理念や取り組みを調べてみましょう。商品の素材や値段だけではなく、その背景までを知って購入するのが、エシカル消費の第一歩です。
⑥食品ロスを減らす
本来は食べられるのに廃棄されてしまう食品を「食品ロス」といいます。エシカル消費を心がけて、地元産の旬食材を買ったとしても、食べずに捨てることになっては本末転倒。それこそ、もったいない。「食べきれる量だけ買う」「余るなら保存食にする」など、食材を捨てない工夫をしましょう。
⑦節水・節電を心がける
にわかには信じがたいけれど、日本は水不足といわれています。貴重な水資源を使い続けるためにも、節水は重要です。また、現代の暮らしに欠かせない電気も無限ではありません。2011年の東日本大震災以降、電力消費量は減少しているそうですが、節電は続けたいですね。水の出しっぱなし、電気のつけっぱなしをやめるところから始めましょう。
⑧モノは修理して長く使う
壊れたモノを捨てる前に、ちょっと立ち止まってください。もしかすると、修理して使えるかもしれません。例えば、家具。日本でも欧米でも修理しながら使い継がれてきました。それが、古民具やアンティーク家具です。また、金継ぎという伝統技法があります。欠けたり割れたりした器を、漆と金粉で修復するもの。買い替える前に思い出したい粋な文化ですね。
⑨資源は捨てずにリサイクルする
ペットボトルや牛乳パックは資源ゴミに出していますか。また、まだ使えるのに使う機会を失ったアイテム——着られなくなった衣類、サイズの合わない靴など、クローゼットに寝かせているものはありませんか。どれも大切な資源です。リサイクルを心がけましょう。
今日からサスティナブルに生きていく
近年、「サスティナブル」や「SDGs」といった言葉をよく見るようになりました。どこから手をつけていいのか戸惑うほど大きい地球規模の課題への取り組みも、始まりは個人の一歩から。日々の暮らしを楽しむためにも、サスティナブルを意識して、楽しみながらできることをいつもの生活にプラスしてみませんか。あなたも今日からサスティナブルな生き方を。
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