春になると体調不良になるのはなぜ?〜春バテの基礎知識〜

朝晩はまだ肌寒さが残るものの、日中はぽかぽかと暖かく、日ごとに春らしさが感じられるようになってきました。そんな心地よい陽気とは裏腹に、なんだかダルい、やる気が起きない……といったカラダの不調に悩まされている人もいるのではないでしょうか? それ、もしかしたら「春バテ」かもしれません。今回は、春先に感じる心身の不調「春バテ」について解説します。

春バテの基礎知識 <症状編>

近年、注目されるようになった「春バテ」とは、春先にさまざまな変化が要因となって心身にあらわれる不調のこと。まずはどのような症状が出るのかを具体的に見ていきましょう。

そもそも「春バテ」ってなんだろう?

ここ数年、テレビや雑誌などでも取り上げられるようになった「春バテ」ですが、夏バテに比べるとまだまだ認知度は低めです。では、「5月病」と言われるとどうでしょう? おそらく多くの人が「それなら知っている」となるのではないでしょうか。じつは、春バテは五月病と同じ意味合いがあります。そこが分かるとグッと身近になり、イメージしやすいのではないでしょうか。

ところで、5月病という名称ですが、これは正式な医学用語ではありません。5月のゴールデンウィーク明け頃から生じやすい心身の不調なので、そう呼ばれています。近年は4月でも同じような症状を訴える人が多く見受けられるようになったことから「4月病」と呼ばれることも。いずれにしても、ちょうど季節の変わり目にあたる時期。そこから「春バテ」とも呼ばれるようになり、その名称が広まりつつあるのです。

「春バテ」になってない?チェックリストで確認してみよう

ここでは、春バテの症状を具体的に見ていきます。人によって症状の出方は違いますが、以下にあげたものがよく見られる主な症状です。

<精神的な不調>

  • 気分が落ち込む
  • イライラする
  • やる気が出ない
  • 憂鬱になる
  • 不安になる など

<身体的な不調>

  • 昼間の眠気
  • 体がだるい
  • 食欲不振
  • 頭痛
  • 肩こり など

なかでも、「昼間の眠気」を含め、「寝つきが悪い」「眠りが浅い」「目覚めが悪い」といった睡眠の不調は春バテ特有の症状といわれています。

春バテの基礎知識 <原因編>

春バテが起こる主な原因は、自律神経の乱れにあると言われています。では、なぜ春は自律神経が乱れやすくなるのでしょうか? 季節的な要因と環境的な要因の2つの面から解説します。

原因① 季節的な要因

一年の中でも目まぐるしく気候が変わるのが春。移動性高気圧と低気圧が交互にやってきて、毎日のように気圧配置が変わります。晴れて暖かい日が3〜4日続いたと思ったら(高気圧の日)、急に天気がグズつき寒い日がやってくることも(低気圧の日)。そうした気候の変化で、服装に困った経験がある人も少なくないでしょう。このように、短い周期で天気が変わりやすく、暖かい日と寒い日が交互に現れるのが、春の気候の大きな特徴です。さらに、もうひとつ特徴的なのが一日の中での激しい気温差。移動性高気圧に覆われると、昼間は晴れてぽかぽかと暖かく、ザ・春といった陽気になりますが、夜は放射冷却によりグンと気温が下がり冷え込みます。この気圧の変化や大きな気温差が、自律神経に負担をかけるのです。

原因② 環境的な要因

春は、出会いと別れの季節といわれるように、異動や転勤、進級、卒業、入学などで、自身や家族の生活が大きく変わることがあります。期待に胸を膨らませ、やる気がみなぎる時期でもありますが、一方で緊張や不安を抱え知らず知らずのうちにストレスを溜めてしまうことも。そのストレスが、自律神経に影響を与えてしまうのです。花粉症など体質的な要因があると、さらにストレスが重なりダメージを受けやすくなるといわれています。

春バテの基礎知識 <対策編>

では、「春バテ」にならないためにはどうすればよいのでしょうか。対策として取り入れたいのは、「自律神経を整えるためのあれこれ」。実際に春バテを感じている人の解消法としても有効です。

春バテ対策① 軽めの運動をする

軽めの運動は、ストレス解消に効果的。体を動かすことで血液の循環がよくなり、セロトニンをはじめとする神経伝達物質も活性化するといわれています。ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動は10分でも十分な効果が得られるそう。無理のない範囲で体を動かしてみましょう。くれぐれも、頑張りすぎないように。つい張り切ってしまうと、かえって体にストレスを与えかねないからです。

春バテ対策② 良質な睡眠をとる

質の良い睡眠をとるために心がけたいのが、次の3点です。

  1. 夕食は寝る2時間前までに済ませること
  2. 入浴は寝る1時間前までに済ませること
  3. 寝る前にスマホやテレビを見ないこと

また、この後で紹介する春バテ対策③や④も睡眠の質向上に役立ちます。

春バテ対策③ ぬるめのお湯に浸かる

忙しい現代社会において、入浴をシャワーで済ませる人は少なくありませんが、自律神経を整えるためには湯船に浸かるのも有効です。36〜40℃くらいのぬるめのお湯に浸かると、副交感神経が優位になるのだとか。リラックスした状態になるので、寝つきがよくなるといわれています。ただし、熱めのお湯は逆効果。活動を支える交感神経が活発になってしまうので、リラックスモードから遠ざかってしまいます。

春バテ対策④ 目元を温める

目元を温めると、短時間でリラックス効果が得られると言われています。ある調査では、人が気持ちいいと感じる約40℃の蒸気で目元を温めると、10分ほどで副交感神経が優位になることが確認されたのだとか。目元を温めるためのさまざまな専用アイマスクが市販されていますが、家庭では蒸しタオルを使うのもおすすめ。水に濡らして絞ったタオルをレンジで適温まで温めるだけで、簡単に蒸しタオルが作れます。リラックスしたいときに、ぜひ取り入れてみて。就寝前はとくにgood。目元を温めると、寝つきがよくなり、質の良い睡眠に導き、自律神経を整えてくれるのに役立ちます。

春バテ対策⑤ バランスのよい食事をとる

自律神経を整えるには、食事も重要な要素です。次にあげる栄養素は、自律神経を整えるのに効果的といわれています。併せて代表的な食材も紹介しますので、意識して日々の食事に取り入れ、バランスよく食べることを心がけてみましょう。

  • ビタミンA
    卵、レバー、にんじん、バター、モロヘイヤなど
  • ビタミンB群
    豚肉、鶏肉、さば、かつお、玄米、ごまなど
  • ビタミンC
    菜の花、キャベツ、いちご、グレープフルーツ、オレンジなど
  • ビタミンE
    大豆製品(豆腐や納豆など)、アーモンド、かぼちゃ、ほうれん草、ブロッコリーなど
  • カルシウム
    乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)、大豆製品、小魚、干しエビ、小松菜など

1ヶ月過ぎても改善しない場合は医療機関を受診しましょう

ここまでお話したとおり、春バテはその時期ならではの要因により心身にあらわれるさまざまな不調です。多くは一過性の症状であり、対策を講じれば改善が見られることがほとんどですが、なかには症状が重かったり、長引いたりするケースも。その場合は、一度、医療機関を受診しましょう。適応障害やうつ病などの疾患が隠れている可能性もあるからです。心身の不調に我慢は禁物。自己判断も厳禁です。1ヶ月過ぎても改善しない場合は、医療機関で診察を受け、適切な治療を行ってくださいね。

春こそゆったり過ごして自分自身をいたわりましょう

ぽかぽかとした心地のいい陽気とは裏腹に、春は心身の不調を感じる人が多くなる季節でもあります。その不調が「春バテ」といわれる症状です。ある調査によると、じつに6割以上の人が春バテの経験があると回答したのだとか。春バテの主な原因は自律神経の乱れといわれています。春は昼夜の気温差が大きく、また入学や就職、転勤といった生活環境の変化も大きいため、どうしても自律神経のバランスが崩れがちになるのです。なので、無理は禁物。軽めの運動をしたり、ぬるめのお湯で入浴したり、自律神経を整えることに意識を向けて、自分にやさしく過ごしてくださいね。

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