防虫剤も天然素材にこだわりたい!〜大切な服を守るために知っておきたい2つのこと〜
近年、環境問題への意識の高まりから、自然派素材のサスティナブルな製品が支持される傾向にあります。防虫剤もご多分にもれず。ただ、天然由来の成分は作用が穏やかというイメージがあるからか、効果のほどに不安を抱く人がいるものたしかです。
今回は、そんな不安を払拭できるようなお話を。「衣類害虫の生態」と「天然の力のすごさ」の2つを知れば、きっと新たな視野が開けるはず。併せて、おすすめの天然由来の防虫剤も紹介します!
天然素材の防虫剤を使いこなすコツその1:「衣類害虫の生態」を知る
清潔にしているはずのタンスやクローゼットの中。なぜ、そこに衣類を食べる害虫が発生するのか不思議な気がしませんか? ここでは、衣類害虫の生態について解説します。
そもそも「衣類害虫」とは?
衣類を食べてしまう害虫は、主に「イガ」「コイガ」「ヒメカツオブシムシ」「ヒメマルカツオブシムシ」の4種です。いずれも、衣類を食べるのは幼虫の時期のみ。衣類をエサにして成長するのです。成虫になるともう衣類を食べることもなければ、人を刺したり、病原菌を媒介したりするわけでもないため、「害虫」としてのカテゴリからは外れます。と、ここまでは4種の共通項なのですが、成虫の生態はイガ類とカツオブシムシ類ではずいぶん異なるところがあります。以下をご覧ください。
- イガ類
イガ類の主な生息場所は鳥の巣。成虫になっても明るい光は好まず、家の中では家具の裏などホコリが溜まりやすい場所に生息します。侵入経路としては、外出時に着ていた服や外干ししていた洗濯物についたまま、家に取り込んでしまうことが多いようです。イガ類は年に3回も卵を産むため、一度住み着かれてしまうと厄介。繁殖を繰り返し、長期間にわたり被害を受けることになりかねません。
- カツオブシムシ類
明るい光を好み、花の蜜を吸うなどして、屋外のさまざまな場所で暮らしています。侵入経路は外干しの洗濯物。光を反射する白い衣類に誘引され産卵し、家の中に卵が持ち込まれてしまうこともあるようです。カツオブシムシ類の特徴は、幼虫の期間が長いこと。1年のうちおよそ9ヶ月を幼虫として過ごします。成虫になってからの寿命は短く、1〜2ヶ月ほどといわれています。
衣類害虫が好む環境&繊維の種類
衣類害虫は、「気温15〜25℃」「湿度60%以上」「暗い場所」を好み、この条件下で活発に活動します。エサとなる衣類は、化学繊維のものよりもウールやカシミア、シルクなどの動物繊維のものを好むといわれていますが、侮れません。化学繊維でも皮脂や汚れなどが付着している場合は要注意。というのも、ヒトの皮脂や髪の毛、フケ、垢、食べこぼし、ホコリなども衣類害虫の好物だからです。そんな好みのエサが豊富にあり、気温や湿度もちょうどいい塩梅の暗がりこそが、タンスの中やクローゼット。衣類害虫にとってはこの上ない楽園なのです。
【ポイント①】虫を侵入させないために日々ケアを!
家の中で衣類害虫に一度でも産卵されてしまうと駆除が非常に困難です。なので、侵入を防ぐことが大切な服を守るための第一歩。洗濯物を外干ししたときは、虫や卵がついている可能性があるので、しっかり叩いて取り入れること。帰宅後に洋服ブラシをかける習慣をつけるのも◎。そんな日々のケアが大切です。
天然素材の防虫剤を使いこなすためのコツその2:「天然の力のすごさ」を知る
古来より、人々の身近にあった植物の香り。さまざまな効果・効能があることも経験的に知られていました。紀元前のエジプトではミイラづくりにミルラ(没薬)などの精油が使われていたのだそうです。ここでは、植物の香りが持つ力の中でも「虫よけ効果」に焦点をあてて、掘り下げていきます。
なぜ、植物の香りで虫を遠ざけることができるのか?
植物の生体内で精油が作られ、それがどういう役割を果たしているのかは、まだ未解明な部分が多いものの、「植物は自分でカラダを動かせない」ことが理由のひとつとしてあるようです。外敵を追い払ったり、その場から逃げたりすることができない植物にとって、香りはいわば自分を守る武器。相手の嫌がる香りを発することで、捕食されるのを防いでいると考えられています。数多くある精油のうち、一部を虫よけとして利用できるのは、その効果(忌避効果)を持っているからです。
防虫効果の高いおすすめの精油4種
ここでは、防虫効果が高いといわれている4種の精油を紹介します。
- ユーカリ・シトリオドラ
別名「レモンユーカリ」とも呼ばれ、ユーカリ・シトリオドラはレモンのような香りが特徴的。虫が嫌う芳香成分「シトロネラール」というテルペン系のアルデヒド類を多く含むため、高い虫よけ効果が期待できます。
- シトロネラ
虫が嫌う香りとして有名なシトロネラは、やや香りが強めですが、虫よけ効果は抜群といわれています。東南アジア諸国では、古くからシトロネラを蚊帳に編み込んで利用するなど、生活の中に根づいている植物なのだそうです。
- レモングラス
レモンに似た爽やかな香りが特徴のレモングラス。蚊よけのイメージがありますが、ダニやハエ、ゴキブリなどにも効果があるといわれ、タイでは昔から虫よけとして活用されています。
- ヒノキ
ヒノキといえば、真っ先にヒノキ風呂を思い浮かべる人は少なくないでしょう。日本人にとってヒノキはとても馴染み深い香りです。ヒノキは昔から防虫効果があることでも知られ、とくにイガ・コイガ・ヒメカツオブシに対しては高い効果があるとされています。
精油を使った防虫剤の作り方
天然の防虫剤として、自身で精油を使った防虫剤を作ってみたいという方もいらっしゃるかもしれません。簡単に作れる、精油を使った防虫剤の作り方をご紹介します。
- コットンを用いる方法
コットンに精油を10滴ほど垂らせば、もう出来上がり。タンスや引き出しの中、衣装ケースに入れて使いましょう。ただし、衣類には直接触れないようにご注意を。シミの原因になることがあるからです。コットンは、2ヶ月を目安に取り替えるか、精油を適量加えるようにしましょう。
- 重曹を用いる方法 *重曹サシェ*
重曹は吸湿効果があるので、湿気対策にもなります。ただし、湿気を吸い取ると固まってくるので、固まりが出てきたら交換するようにしましょう。
<重曹サシェづくりで用意するもの>
- 精油……20滴ほど
- 重曹……50g
- お茶パックなどの不織布パック……1枚
- コットンの巾着袋など……1枚
<作り方>
- ビニール袋に重曹を入れ、精油を垂らしてよく混ぜる
- お茶パックなどに①を移し、それをさらに巾着袋に入れる
【ポイント②】天然の防虫効果を知る。連綿と受け継がれてきた香りには理由がある
国内外問わず、古くから虫よけとして使われている精油について、まず知るところから始めてみませんか。当時はおそらく経験的に知っていたであろうことが、現代では科学的に証明されつつあります。自ら情報を吟味して選択すれば、きっと納得して使えるはずです。
市販されている天然由来の防虫剤を活用しよう
手作りの防虫剤はちょっとハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。その場合は、無理せず市販品を使うのもアリです。
天然由来の防虫剤として、おすすめしたいのがウッディラボの「ダニよけシリカ」。殺虫剤や忌避剤などの薬剤は一切不使用。天然由来の香りでダニや衣類害虫の増殖を抑えます。成分のやさしさから、小さな子どもやペットのいるご家庭でとくに重宝されています。手のひらサイズで使い勝手がよく、タンスやクローゼット、ベッド、ソファなど家中のさまざまなシーンで使える優れもの。一度試してみませんか。
日頃のケアと天然素材の防虫剤で衣類をやさしく守りましょう
天然由来の成分は作用が穏やかというイメージがあるからか、効果のほどに不安を抱く人も少なからずいます。それは当然のことかもしれません。というのも、強い成分の防虫剤を使っていても虫に食べられることはあるからです。おそらく多くの人が経験しているのではないでしょうか。
そこでポイントになってくるのが、衣類害虫の生態です。日々の何気ない行動が、じつは衣類害虫を呼び込み、快適な環境を整えてしまっていることが少なくありません。衣類害虫を寄せ付けないためには、洗濯をしたりブラッシングをしたりといった日頃のケアも重要です。防虫剤の使用とともに、日々のお手入れも行ってくださいね。
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