2023年の夏至はいつ? 一年でいちばん昼の時間が長い日【夏至】のおはなし

気温が高くなると同時に、日中の時間が長くなってきましたね。春を迎え、徐々に昼の時間がのびていき、6月には「夏至」を迎えます。夏至は、一年で最も昼の時間が長くなる日ですが、その日を改めて意識することは少ないのではないでしょうか。今回は、夏至の日がちょっと待ち遠しくなるようなお話をいたしましょう。

夏至とは

まずは、夏至のキホンを押さえておきましょう。そもそも夏至はいつなのか、夏至の意味や冬至との関係について解説します。

夏至はいつ?

夏至は、毎年日にちが異なりますが、だいたい6月21日ごろにあたります。2023年の夏至は6月21日(水)。併せて、「日の出」と「日の入り」の時刻も見ておきましょう。日照時間の長さを実感できるはずです。

<2023年夏至 6月21日の日の出・日の入り時刻、東京>

日の出 : 4時25分
日の入り:19時00分

参照:2023年6月 日の出入り(東京(東京都): Tokyo)|国立天文台

夏至の日、東京では太陽が出ている時間はおよそ14時間半。昼の時間が最も短くなる冬至の日の日照時間は9時間45分ほどといわれていますから、約5時間も違います。夏と冬で日の長さが違うというのは体感済みといったところですが、いざ数字で見てみると、けっこうな違いに驚くのではないでしょうか。

夏至の意味。ところ変われば意味も変わる?

「日長きこと至る(きわまる)」という意味を持つ夏至。「夏に至る」という言葉のとおり、その日を境に本格的な夏が始まります。といっても、それは日本を含む北半球での話。南半球では逆に一年の中で最も昼が短くなり、本格的な冬を迎えます。つまり、南半球では、「夏に至る」のではなく、「冬に至る」日になるのです。では、なぜそんなことが起こるのか? 地球の地軸の傾きと南中高度が関係しているからなのですが、まずは地軸と南中高度について簡単に説明します。

  • 地軸とは
    北極と南極を結ぶ自転軸のこと。地球は地軸を中心にして、1日ひと回りしています(=自転)。また、地球は地軸を一定の方向に傾けたまま太陽の周りを公転。1年でひと回りします。
  • 南中高度とは
    まず「南中」ですが、太陽などの天体が真南にくることを指します。それを踏まえると、南中高度とは、天体が南中したときの“高度”と思われがちなのですが、じつは高さではなく「角度のこと」をいいます。真南方向の地平線と南中時の天体との角度が、南中高度です。

北半球においては、地軸の北極側が太陽の方向に傾き(近づき)、また、太陽の南中高度が最も高くなる日が夏至です。夏至の日の正午ごろ、東京付近の太陽の南中高度は、およそ78度。これは、頭上から太陽光が降り注いでいるように感じます。

この南中高度の高さが、夏の気温の高さにも関係しています。というのも、太陽光のあたる角度が直角に近いほど、受けるエネルギーが多くなるからです。さらに、南中高度が高くなると昼の時間が長くなりますから、それだけ太陽に照らされている時間も長くなる。よって地面が暖められるというわけです。

南半球では、地軸の南極側が太陽の逆方向に傾くカタチに。なので、北半球とは反対のことが起こるというのは想像に難くないのではないでしょうか。

夏至と冬至の関係

夏至とはちょうど真逆の関係になる冬至。一年で最も昼の時間が短くなるのが冬至です。なぜそうなるのかは、前項で解説した夏至の理由と同じく、地軸の傾きと南中高度にあります。冬至の場合は、地軸の北極側が太陽と逆の方向に傾き、南中高度が低くなるため、昼の時間が短くなるのです(北半球では)。

少し気が早いですが、2023年の冬至とその日の日の出・日の入り時刻を紹介します。

<2023年冬至 12月22日(金) の日の出・日の入り時刻、東京 >

日の出 : 6時47分
日の入り:16時32分

参照:2023年12月 日の出入り(東京(東京都): Tokyo)|国立天文台

日本と世界各国の夏至の風習

冬至の日は、かぼちゃを食べたり、ゆず湯に入ったりと、全国各地で見られる風習があります。では、夏至にもなにか特別な風習があるのでしょうか。ここからは、国内外で夏至がどのように過ごされているのかを見てみましょう。

日本の夏至の風習

実は、夏至の日は全国的な風習がほとんどありません。というのも、日本ならではの理由があるからです。諸説ある中でも有力な2つの説を紹介します。

  • 農繁期で忙しい時期だから
    夏至から半夏生(※1)にかけて、田植えを終わらせる目安とされ、農業を営む人にとってはとても忙しい時期。以前は農家の人口が多かった日本では、この時期にしきたりやお祭りなどが生まれづらかったのではないかといわれています。
    • 1 :半夏生とは:夏至から数えて11日目の7月2日ごろから七夕(7月7日)ごろまでの5日間をいいます。
  • 梅雨真っただ中だから
    言うまでもなく、この時期日本は梅雨の真っただ中。雨が多いため行事を執り行うのが難しかったのではないかと推測されています。

以上の理由から、日本では夏至の日の風習がほとんどありません。ですが、田植えが一段落した半夏生には、いまでも残っている風習があります。たとえば、関東地方の一部地域では、夏至のころに収穫した麦を使って「半夏生餅」を作り、田んぼにお供えしてから食べるのだとか。また大阪近郊をはじめとする関西地方では、稲がタコの足のようにしっかり八方に張るようにと願って、タコを食べる風習があります。

世界の夏至の風習

日本では特別なことが少ない夏至ですが、世界では北欧を中心に、夏至を盛大に祝う国々があります。ここではスウェーデン、デンマーク、フランスの夏至事情を紹介します。

スウェーデン

北欧の国々では、各地で夏至の日を盛大に祝うお祭りが開催されますが、とりわけ有名なのがスウェーデンの夏至祭(ミッドサマー)。クリスマスと並ぶ重要な行事とされています。会場となる広場の中央には、メイポールという白樺の葉で覆われた背の高いポールが立てられ、その周りを老若男女が歌い踊って夏の到来を祝います。ニシンや新じゃがいもを使った伝統的な料理も振る舞われます。

デンマーク

デンマークでは、夏至の夜に焚き火をし、魔女の人形を燃やして厄払いをするという風習があります。バイキング時代から、日が最も長くなる夏至の夜は「魔」が活発になると信じられてきたためで、「魔」を追い払うために火を焚くのだそうです。その年の収穫を悪霊から守るという意味もあるといいます。

フランス

夏至の日、フランスでは「Fête de la Musiquc(フェット・ド・ラ・ミュージック)」と呼ばれる音楽祭が開催され、夏の始まりを告げる風物詩になっています。この音楽祭の歴史は比較的新しく、1982年、当時の文化大臣の呼びかけにより始まりました。「音楽はすべての人のもの」というのが基本精神。あらゆる場所で、あらゆる人々が、あらゆるジャンルの音楽を奏でます。街中が音楽で溢れるフランスの夏至。夜中まで楽しい宴は続きます。

夏至の日のキャンドルナイト

「100万人のキャンドルナイト」というイベントはご存じでしょうか。夏至(&冬至)の日の夜、少しの時間だけでも照明を消し、キャンドルを灯して、その明かりで過ごそうというもので、2001年にスタートしました。このイベントの始まりはカナダから。アメリカのブッシュ政権が打ち出したエネルギー政策に対する抗議として行われたのがきっかけです。そこから大きなムーブメントが起こり、「100万人のキャンドルナイト」として世界各地で開催されるようになりました。なぜ、夏至と冬至の日だけなのかというと、その両日は世界共通の日だからです。今年の夏至の夜は、電気を消してキャンドルを灯し、世界平和や地球環境のことなどを考えながらゆっくり過ごしてみませんか。

夏至の夜は、世界とつながりながらゆっくり過ごしてみませんか

夏至を迎える頃、日本はちょうど梅雨の時期。一年の中で最も昼の時間が長いといっても、あまり実感が湧かないかもしれません。それに、冬至のように「かぼちゃを食べる」や「ゆず湯につかる」といった全国的な風習もないため、夏至を意識して過ごすことはそうないのではないでしょうか。ただ、少し視点を変えて地球規模で見てみると、夏至(冬至)は奇跡的な日。というのも、地球と太陽の位置関係で起こる天体現象で、世界共通の日だからです。今年の夏至の夜は、電気を消してキャンドルを灯し、世界の人たちのことを思いながらゆっくり過ごしてみませんか。

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