衣替えの季節に考えたい「サスティナブルファッション」

サンダルを履いて砂浜を歩く女性の足元

6月1日は衣替えの日です。学生時代の制服とは違い、冬服と夏服を切り替えるタイミングはあまり意識しないかもしれません。また、ライフスタイルや収納の変化もあり、近年は衣替えを行わない人も多いのだとか。とはいえ、そろそろ夏服の出番が増えてくる季節です。そこで、サスティナブルファッションについて、考えてみませんか。

サスティナブルファッションとは

昨今、SDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりも手伝い、サスティナブルという言葉をよく見聞きするようになりました。さまざまな分野において、サスティナブルな社会を目指した取り組みがなされています。サスティナブルファッションもそのひとつ。いったい、サスティナブルファッションとは何か、どのような背景から生まれたものなのかを確認していきましょう。

サスティナブルファッションを知る

環境省によると、サスティナブルファッションとは、「衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのこと」と定義されています。なんだか難しそうに思えますが、つまり、地球にも人にもやさしい衣服をつくり、大切に使い、再活用できるように処分するという取り組みです。私たち生活者の視点から見ると、考える消費活動「エシカル消費」のひとつといえるでしょう。

環境省|SUSTAINABLE FASHION これからのファッションを持続可能に

消費者庁|サスティナブルファッション習慣のすすめ

サスティナブルファッションの背景を探る

数年前、高級ファッションブランドが、ブランドイメージを守るために過剰在庫を焼却処分しているという話題が批判を集めました。しかし、この問題は、ひとつのブランドだけではなく、ファッション業界全体の問題なのだと指摘されています。というのも、ファッション業界は大量生産・大量消費・大量廃棄になるケースが多いからです。

日々の暮らしのなかで、あまり意識しませんが、衣服は、想像以上に大量につくられ、売れ残ったものも着なくなったものも大量に捨てられています。環境省のデータによると、原材料の調達から製造、店頭での陳列までの工程における環境負荷はかなりのもの。服1着あたりに換算すると、ペットボトル約255本を製造するときと同じだけのCO2を排出し、浴槽11杯ほどの水を消費しているとされています。また、焼却・埋め立て処分される衣類は、1日あたり大型トラック約130台分にもなるそうです。

それだけではありません。製造過程での水質汚染、マイクロプラスチックの放出など、環境破壊も深刻です。さらには、発展途上国での低賃金・長時間労働や児童労働、劣悪な労働環境といった問題、毛皮など動物性素材の使用に対するアニマルウェルフェア(動物福祉)の問題もあります。このようなさまざまな問題を解決するために、サスティナブルファッションは誕生したのです。

サスティナブルファッションの取り組み

ファッション業界は、大量生産・大量消費・大量廃棄という一方通行の仕組みから、適量生産・適量購入・適量利用という循環型モデルへの転換を始めています。その具体的な取り組みとは——。

ファッション業界の取り組み

ファッション業界の取り組みとしては、まず、適正な在庫管理による適量生産があげられます。受注生産やアウトレットでの販売などを行い、衣服の売れ残りを防ぐというものです。次に注目したいのは、売ったあとの新たな仕組み。近年は、自社の商品を回収して、リサイクルする企業も増えてきました。着られなくなった衣服は、店頭の回収ボックスに持っていくのが、すでに習慣となっている人もいるかもしれませんね。また、自社製品のリペア(お直し)、衣類のシェアリングといったサービスもまた、サスティナブルファッションの取り組みです。

エシカル消費にはおなじみの認証ラベルにも注目です。ファッション業界に関するものだと、オーガニック繊維製品世界基準(GOTS)やエコテックス(Öko-Tex)などの国際認証ラベルがあります。これらは、原料から衣服になるまでの工程について、環境保全やフェアトレードなど、さまざまな視点から審査され、厳しい基準を満たしたものだけに付与されるもの。つまり、環境や社会に配慮した商品であるという証です。この国際認証を取得する企業も増えていて、意識しようとしまいと、サスティナブルファッションは私たちの身近になりつつあります。

サスティナブルファッションと素材

もうひとつ、サスティナブルファッションに欠かせないものが素材です。天然素材やリサイクル素材など、地球にやさしい素材が使用されています。ここでは、代表的な3つの素材を見ていきましょう。

オーガニックコットン

サスティナブル素材の代表格ともいえるのが、オーガニックコットンです。

通常、綿の栽培には農薬や化学肥料が使用されます。それは、土壌や水質の汚染と無関係ではありません。綿は天然素材ですが、栽培するときに環境負荷はかかっているのです。逆にいうと、農薬や化学肥料を使わず、有機肥料や虫除けハーブ、益虫などを活用する有機栽培なら、環境負荷を軽減できるということ。この有機栽培により、オーガニックコットンはつくられています。

しかし、有機栽培された綿がすべてオーガニックコットンと呼ばれるわけではありません。環境への配はもちろん、児童労働を禁じる、労働者の安全や健康に配慮するといった基準をクリアしてはじめて、オーガニックコットンと認証されます。つまり、オーガニックコットンは、地球と人にやさしいと認められた綿なのです。

再生ポリエステル

サスティナブル素材として注目されているのが、再生ポリエステルです。これは、ペットボトルを再利用した繊維のこと。回収されたペットボトルを粉砕し、溶かし、糸に加工します。それを生地にして、ユニフォームや制服、Tシャツ、ポロシャツといった衣服のほか、カーペットやカーテンといったファブリック、ランドセルやエコバッグなどがつくられているのです。

あのペットボトルが原料となってて、衣服に変わるとは意外かもしれません。しかし、ペットボトルの原料であるポリエチレンテレフタレートは、石油由来の樹脂であり、衣服によく使われる合成繊維のポリエステルと同じものです。じつは、ペットボトルはもともと衣類になる素質があるといえるでしょう。

再生ポリエステルは、海洋マイクロプラスチック問題の原因となりうるペットボトルも、石油の使用量も減らせるという点で、地球にやさしいというわけです。

アニマルフリー

アニマルフリーとは、動物性素材を使わない製品のこと。衣服でいうと、毛皮(リアルファー)やフェザー、ダウン、ウール、アンゴラ、皮革(レザー)などが動物性素材であり、これらを使用しない衣服をアニマルフリーといいます。

なぜ、アニマルフリーへの関心が高まっているのでしょうか。その背景には、アニマルウェルフェア(動物福祉)の浸透があります。これは、家畜や実験動物、ペットなど、あらゆる動物たちが幸せに生きられるように配慮しようという考え方です。動物性素材がつくられる過程は、動物たちにとって過酷なもの。アニマルフリートの衣服を選ぶことは、動物虐待にノーを突きつけることにほかなりません。地球にも人にも動物にもやさしいのが、サスティナブルファッションなのです。

いまから始める3つのサスティナブルファッション習慣

サスティナブルファッションというと、非常に現代的で、最先端の取り組みのように感じます。ところが、日本には古くからサスティナブルファッションがありました。日本のサスティナブルファッションと、いますぐに始められる3つのサスティナブルファッション習慣を紹介します。

日本のサスティナブルファッション

日本人といえども、いまは日常的に着物を着ることはほとんどありません。多くの人にとって、着物はハレの日の衣装なのではないでしょうか。しかし、その着物こそ、究極のサスティナブルファッションといえます。というのも、着物には「仕立て替え」という文化があるからです。これは、現代風にいうとリフォーム。着物は一枚の反物からできているため、縫い糸を解くともとの反物に戻ります。そして、成長や体型の変化に合わせて寸法を直したり、色を染め直したり、あるいは羽織につくりかえたりしながら、長く着るものでした。

いまこそ、洋服を着物にきりかえましょう!……というのは、あまり現実的ではありません。しかし、「工夫を凝らしながら、長く大切に着る」という仕立て替えのエッセンスは、現代の暮らしにも取り入れたいものです。

3つのサスティナブルファッション習慣

前章で見たとおり、ファッション業界では、サスティナブルファッションの取り組みを実践しています。その成否は、私たち生活者の意識と行動によるところも大きいはず。サスティナブル習慣のひとつとして、サスティナブルファッションを心がけたいものですね。そこで、購入・使用・処分の3つの段階において、すぐに始められる3つのサスティナブルファッション習慣を紹介します。

購入/長く着られる服を買う

サスティナブルファッション習慣の1つ目が、「長く着られる服を買う」です。一度きり、あるいはワンシーズンだけしか着ない服ではなく、数年は着たいと思えるような服を選びましょう。生地や縫製がしっかりしていて、飽きのこないデザインや色であれば、長く着られます。ただ、それだけだと服選びのワクワクが半減してしまうかもしれませんね。もちろん、自分が気にいるというのも大切なポイントです。お気にいりの服なら、長く着たくなるし、大切に着るはずですから。

使用/服を長持ちさせる

サスティナブルファッション習慣の2つ目は、「服を長持ちさせる」です。着ているときに汚したり傷めたりしないように気をつけるのはいうまでもなく、お手入れのときも丁寧に扱いましょう。素材に適したケアや洗濯を行えば、服は長持ちするはずです。

また、ちょっとした破れやほつれなら、リペアするという手もあります。デザインにちょっと飽きてしまったというなら、リメイクしてみてもいいかもしれません。

処分/服をリサイクルする

サスティナブルファッション習慣の3つ目は、「服をリサイクルする」です。いよいよ服を処分するとき、ゴミに出しているとしたら、それをやめてみましょう。町内会や自治体の資源回収を利用する、あるいは、購入した店舗に古着の回収ボックスがあれば、そこに入れるようにします。

本来は捨てなくてもいいような、たとえば、数回しか袖を通していないまだまだ着られる服は、リサイクルショップやバザー、フリーマーケットのほか、フリマアプリなどに出品してみてもよいでしょう。

いまどきのおしゃれの極意は、サスティナブルファッション

ファッション業界には、華やかさとうらはらに環境問題や労働問題という負の側面があります。その背景にあるのが、大量生産・大量消費・大量廃棄です。それを適量生産・適量購入・適量利用という循環型モデルに転換するために、さまざまな取り組みがなされています。それが、サスティナブルファッション。地球にも人にもやさしい衣服をつくり、使い、処分するという一連の循環です。私たち生活者にとっては、エシカル消費のひとつであり、「地球と人に思いをめぐらすファッション」といえます。

なんだか難しく感じますが、まずは、「長く着られる服を買う」「服を長持ちさせる」「服をリサイクルする」の3つを意識するところから始めてみませんか。もちろん、流行の色やアイテムを取り入れてはいけないというわけではありません。取り入れ方を考えればいいのです。ファッションも暮らしも、サスティナブルに、おしゃれに楽しみましょう。

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ウッディラボのルーツは、1947年創業の家具屋。木に携わり、木のおかげでこれまで事業を続けてきました。もっと木の良さを活かし、お客様の役に立ちたい。そんな思...

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