推し活で心も体も健やかに!〜「推し」活動の健康効果〜
いまは、Z世代のおよそ7割に、中高年でも4割以上の人に何らかの「推し」がいるといわれています。実際、「推し活」が生活の一部になっている人も少なくないのでは? 推し活は、心身の健康にも良い影響を及ぼすそうです。なかなか奥が深い推し活。今回は、推し活の健康効果についてのお話です。
意外にも歴史が古い「推し活」

推し活は、2021年の新語・流行語大賞にノミネートされたこともあり、新しいトレンドと思いきや、意外にも古い歴史をもっています。まずは、推し活の歴史について見ていきましょう。
そもそも「推し」とは?
推しとは、推薦するという意味の「推す」から派生した言葉で、「人にすすめたいほど気に入っている人やモノの」ことを指します。いわゆる「オタク界隈」で生まれた用語といわれていますが、いまや国語辞典にも採録されるなどすっかり浸透している表現となりました。
1980年代頃にはすでに「推し」という言葉が使われていたそうですが、世間一般にも広がったのは2011年頃といわれています。そのきっかけとなったのが、女性アイドルグループの選抜メンバーを決める総選挙のイベントです。独自の投票システムが人気を呼び、ファンのみならず、社会的にも注目を集めました。ファン同士で話すときに使われていた「推しメン(とくに好きなイチオシのメンバー)」という言葉が広く知られるようになったのもこの頃。2011年には推しメンが新語・流行語大賞にノミネートされています。
その後、いつのまにか広がっていたのが、「推し活」(推しを応援する活動)」という言葉。どこから広まったのかは明らかになっていないそうですが、すでに「就活」や「朝活」「婚活」など「〇〇活」が定着していたご時世。結びつくのは自然の成り行きだったのかもしれません。
推し活のルーツは江戸時代

いまでいう「推し活」文化は、じつは江戸時代にもありました。推しの対象として知られているのが歌舞伎です。歌舞伎役者はいまでいうアイドルのような存在で、「贔屓」と呼ばれるファンが熱心に応援していたといいます。その行動は、まさに現代の推し活。
たとえば、
⚫️役者絵や団扇絵(人気役者が描かれている浮世絵で現代のブロマイド)を集める
→現代のグッズ収集と同じような活動
⚫️役者が身につけている小物や着物の色を真似する
→現代の「推しとお揃い」、推し色、推しカラーを楽しむ活動へ
⚫️「贔屓連(ひいきれん)」という愛好団体を結成
→現代のファンクラブのようなもの
⚫️役者を讃える狂歌を詠む
→現代のファンレター、応援メッセージ
など
何かを愛し、応援する気持ちは今も昔も変わりません。かたちこそ違えど、その気持ちは連綿と受け継がれています。
「推し」や「推し活」がこれほどまでに浸透したワケ
かつては一部の層が使っていた「推し」や「推し活」という言葉ですが、ここまで一般化したのはなぜなのでしょうか。理由は2つあると考えられています。
ひとつが、「ポジティブで明るいイメージがある」こと。プロモーションなどに使いやすい言葉で、企業などが積極的に使うようになったことが大きいのではないかといわれています。推すという行為は、いわば、消費行動にあたります。といっても、もともと何かに強烈なこだわりを持つ層、いわゆる“オタク”といえば、その購買力や知識量などのすごさよりも、特有のファッションなどが注目されがちでした。そのため、以前は、どこかネガティブなイメージを持たれることもありました。そんな意識の変革をもたらしのが、「推し」という言葉。オタクのように好きなものがあることや一生懸命になることは、むしろかっこいいとさえ思われるようになり、いまではオタクという言葉もカジュアルに使われています。
もうひとつの理由が、「SNSの普及により活動が可視化された」こと。たとえば、推しのアクスタ(アクリルスタンド)やぬいぐるみを外に持ち出して、景色や食べ物と一緒に撮影するという推し活があります。SNSなどでも多く発信されており、とても楽しそうな感じが伝わってくるのではないでしょうか。推しへの愛情や応援が目に見えて伝わり、活動を見せ合うような楽しみ方も、推し活が普及した大きな要因になっているようです。
「推し」や「推し活」という言葉が普及した昨今では、本来の意味とは逸脱したかたちで使われることもあるようです。その最たるものが「推し選」かもしれません。アイドルの選挙ではなく、実際の議員選挙の表現として採用された地域があります。政治は本来、好悪の感情や情緒的なものではなく、公共の利益と合理的な判断によってなされるべき営みのはず。そんな領域にまで「推し」を持ち込むことに警鐘を鳴らしている研究者もいます。
| 「推し活」小話① :推し活とオタ活の違いとは 推し活と似た言葉に「オタ活」があります。根っこにある「好き」という気持ちはどちらも同じではあるものの、実態は少し違うのだとか。まとめるとこうなります。 <推し活> 比較的穏やかな熱量で、マイペースに楽しむ。複数の「推し」を持つこともアリ。 <オタ活> 同人誌の作成やコスプレなど情熱的に活動する。 好きを表現する方法は人それぞれ。どちらも好きな対象を大切にした活動であることには違いありませんよね。 |
「好き」の気持ちは偉大! 〜推し活の健康効果〜

ここからは、押し活がもたらす健康効果についてです。「心」と「体」に及ぼす影響を見ていきましょう。
心にもたらす効果
好きなもの(推し)があると生活に彩りが生まれ、楽しい気持ちになるものです。なぜ、意識せずともそのような状態になるのかというと、推しのことを思い浮かべるだけでも、脳の中ではオキシトシンやセロトニン、ドーパミンといったホルモンの分泌が増えるからだそうです。これらは「幸せホルモン」と呼ばれる物質で、精神を安定させる働きがあります。前向きな気持ちを保つためにも欠かせない物質だといわれますが、思い浮かべるだけでも良いという効果、すごいですよね。推しを応援している(支えている)という感情は、自己肯定感を高める助けにもなるといい、うつ病などの予防にも効果的といわれています。
体にもたらす効果
心と体はつながっているもの。幸福感は脳の健康を維持するための重要な要素にもなります。推しがいることで、ささやかだけれど「楽しいな」「幸せだな」と感じることが増えるのではないでしょうか。幸せな気持ちが増えることを「主観的幸福感」というそうです。主観的幸福感が高いと、ストレスレベルが下がり、それにより高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病のリスクまで下がるのだとか。結果、健康寿命が伸び、認知症のリスクを抑えられる可能性もあると考えられています。推し活は、科学的な視点からしても、主観的幸福感を高める活動といえるのです。
| 「推し活」小話② :推し活をめぐる問題点も 心と体への健康効果が高いとされる推し活ですが、一方で負の側面もあります。そのひとつが金銭的な問題です。従来の推し活といえば、CDや写真集の購入などが典型的なスタイルでした。しかし、近年では、ファンが推しに対して直接、お金を送る「投げ銭」が主流となっています。推しと直接コミュケーションが取れるため、名前を呼んでもらえるなど特別感が味わえる一方、承認欲求が過ぎて依存症のような状態に陥りやすくなることもあります。実際に、女子高生が親のクレジットカードなどを使って700万円もの投げ銭をしたという事例も。 行き過ぎた推し活は、過度な依存や現実逃避の手段となり、心の病につながるリスクもはらんでいるといいます。好きな人やモノなどを応援することで多幸感を得られるはずの推し活です。無理せず、節度をもって、楽しみたいですね。 |
推し活で心身を元気に
「推し」のイベントなどで熱狂したり、ファン同士で喜びを分かち合ったりと、推し活では感情を解放する場面が多くあります。当人は無意識にそうなっているだけかもしれませんが、心の健康にとっては非常に重要な要素だそうです。ポジティブな感情が促進され、心のバランスをとる助けになることから、推しがいることは心身に良い影響をもたらしてくれます。幸福感が高いとストレスレベルが下がり、生活習慣病や認知症の予防となる効果も期待できるといわれていますから、年齢も関係なく、楽しみたいところ。ただし、行き過ぎた推し活は、過度な依存や現実逃避となり、不安障害やうつ病など心の病につながる可能性も。また、経済的な影響が出ることもあります。無理のない範囲で、心を癒やす推し活を楽しんでみましょう。

コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
























































この記事へのコメントはありません。