秋も花粉症に気をつけて!〜「秋の花粉症」基礎知識〜

秋が近づくと、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった鼻炎症状や目のかゆみなどに悩まされることはありませんか? その理由の1つに、「秋の花粉症」があります。花粉症というとスギ花粉のイメージが強いからか、春のものと思われがちですが、じつは秋にもみられる疾患です。今回は、春に比べると認知度が低い「秋の花粉症」について解説します。

秋の花粉症~原因となる主な植物はブタクサ・ヨモギ・カナムグラなど

秋の花粉症の原因となる代表的な植物が「ブタクサ」「ヨモギ」「カナムグラ」です。各々の特徴と、症状について見てみましょう。

ブタクサ花粉症〜ブタクサの特徴と主症状〜

ブタクサは北米原産の外来種で、日本へは明治初期に持ち込まれました。いまでは、外来種だったとは思えないほど日本の土地になじんでいます。まずは、ブタクサの特徴について見ていきましょう。

ブタクサの特徴

ブタクサは、道端や河川敷などに生育するキク科の植物です。草丈は1mほどになり、夏の終わりごろから秋にかけて黄色い花を咲かせます。1つの花は小さいのですが、無数の花が連なって咲くため、穂のように見えます。

花粉の特徴は、「粒子が小さい」こと。スギ花粉の半分ほどの大きさしかありません。そのため、気管支や肺まで入り込みやすいといいます。次項で、ブタクサ花粉症の主な症状を紹介します。

ブタクサ花粉症の主症状

春の花粉症と同じように、ブタクサ花粉症も、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみが典型的な症状とされています。特徴的なのは「咳が出やすい」こと。理由は、ブタクサ花粉の小ささにあります。スギ花粉くらいの大きさであれば、鼻毛などに阻まれてそこから先へは進めないことが多いのですが、小さなブタクサ花粉はそこをすり抜けて、気管支や肺にまで入り込んでしまうのです。

〜ブタクサ花粉症の豆知識〜

ブタクサ花粉症は、1961年に日本で初めて報告された花粉症です。ちなみに、スギ花粉が問題化してきたのは1970年代以降のこと。戦後、建材として植林されたスギが30年ほど経ち、着花樹齢に達したことで、花粉の産出量が一気に増えたためといわれています。

ヨモギ花粉症〜ヨモギの特徴と主症状〜

薬効が高いことで知られるヨモギは、繁殖力が強く全国いたるところで見られます。そのわりに意外と知らないヨモギのこと。まずは特徴を紹介していきます。

ヨモギの特徴

ヨモギは、畦や草地などで見られる日本で最も一般的なキク科の多年草です。草丈は大人の背丈ほどになることも。夏から秋にかけて花を咲かせますが、小さくて目立たない花なので、よほど植物に詳しくなければ気づかないでしょう。

余談ですが、ヨモギの「新芽」は草餅に使わるなど、多くの人に親しまれています。

ヨモギ花粉症の主症状

ヨモギ花粉症の主な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどが挙げられます。また、ブタクサ花粉症と同様に、咳が出たり、喘息が悪化したりすることもあるようです。というのも、ヨモギの花粉も比較的小さいからです。

カナムグラ花粉症 〜カナムグラの特徴と主症状〜

カナムグラは道端や空き地、河川敷などに生える一年生のつる草です。ちょっと聞き慣れないない名前かもしれません。どんな植物なのか、特徴を見ていきましょう。

カナムグラの特徴

カナムグラは、ジャパニーズホップとも呼ばれるアサ科の植物です。あたり一面を覆いつくすほどの勢いでつるを伸ばし繁茂します。河原では大群落を形成することも。茎に下向きの鋭いトゲがあるのが特徴です。雄株と雌株があり、それぞれ形が異なります。雄株は小さな花をたくさんつけた穂の形、雌株は小さなホップを思い起こす形をしています。花粉の大きさはスギ花粉と同じくらいです。

カナムグラ花粉症の主症状

カナムグラ花粉症は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった鼻の症状が中心です。目のかゆみや充血、涙目などアレルギー性結膜炎の症状が出ることもあります。

花粉ではなく、風邪やハウスダストが原因の場合も!

夏から秋にかけての季節の変わり目は、風邪やハウスダストによる鼻炎が増える時期でもあります。いずれも症状が似ているため、なかなか判別が困難です。ここでは、花粉症と風邪、ハウスダストによる鼻炎の見分け方を紹介していきます。

「花粉症」と「風邪」との違い

風邪のひき始めは、くしゃみや水っぽい鼻水(透明でサラサラした鼻水)が出るなど花粉症とよく似ているのですが、数日経つと次のような違いが出てきます。また、発熱や目のかゆみの有無も花粉症か風邪かを見極めるポイントになります。

⚫️風邪の場合……くしゃみが治まり、水っぽかった鼻水はドロっとしてくる。発熱があることもある。

⚫️花粉症の場合……くしゃみと水っぽい鼻水が続く。目のかゆみが出やすい

ただし、あくまで一般的な症状の例であり、これだけで判断はできません。判断がつきにくい、症状が続くなどの場合には、早めに病院を受診しましょう。

「花粉症」と「ハウスダストによる鼻炎」との違い

ハウスダストによる鼻炎との見分け方は、症状そのものではなく、症状の出方がポイントになります。

  • 外出していないのに症状が出る
  • 家の中の方が、症状が強くなる
  • 花粉症対策をしても症状が軽減しない

症状が気になるときは専門家に相談を!

くしゃみや鼻水が出ると、まずは風邪を疑いがちですが、花粉症などアレルギー疾患の可能性も考えられます。風邪と花粉症では治療法が異なりますから、間違った判断では当然良くなるものも良くなりません。上記の見分け方はあくまでひとつの目安です。症状が改善しないなど、小さくても違和感があれば、医療機関を受診して専門家の判断を仰ぎましょう。

秋の花粉症の対策法

春の花粉症と同様に、秋の花粉症に対しても有効なのが以下の方法です。

<外出時>
*マスクを着用する
併せて花粉症用のメガネや帽子などを使用するとより効果的です。

<帰宅時>
*家の中に入る前に、玄関先で衣服や髪の毛についた花粉を払う
*うがい、手洗い、洗顔をする

<在宅時>
*室内では窓を閉じる

もうひとつ重要なのが、「原因となる植物に近づかないこと」です。

秋の花粉症の原因となる花粉は、ブタクサやヨモギ、カナムグラなど「草の花粉」です。草の花粉は、スギやヒノキといった「樹木の花粉」とは違い、遠くまで飛ぶことはありません。飛距離はせいぜい数メートル。なので、近づかなければ吸わずに済むのです。すべてを避けることは難しいかもしれませんが、原因植物が茂っている場所には極力近づかないようにしましょう。それだけでも症状の出方はずいぶん違うはずです。

夏から秋にかけての体調不良は花粉症も疑って!

春の花粉症に比べると、まだ認知度が低い秋の花粉症。夏の終わりごろから秋にかけて、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった鼻炎症状や目のかゆみなどが現れます。秋の花粉症を引き起こす代表的な「ブタクサ」の花粉は、スギの花粉の半分ほどしかなく、気管支や肺まで入り込みやすいからです。ただ、風邪の症状やハウスダストによる鼻炎の症状とも似ているため、早まって判断するのはよくありません。それぞれに違いはありますから、きちんと見極めるようにしましょう。判別しにくい場合は、専門家の判断を仰ぐことをおすすめします。

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