ディスポーザとは?仕組みや使い方、後付けに必要な条件をご紹介

家庭のキッチンにも設置できる、小型の生ごみ処理設備「ディスポーザー」。その場で、生ごみを処理できるため、ゴミ捨てなどの家事負担が軽くなるほか、虫や臭いの発生を防げる、環境への負荷を少なくできるといったメリットがあります。この記事では、ディスポーザーの基本的な使い方や仕組み、メリット・デメリット、後付けができるのかどうかなどについて、詳しくお伝えいたします。

<この記事のポイント>
●ディスポーザは生ごみを粉砕し処理するキッチン設備
●蓋スイッチ式/連続投入式の2種類がある
●処理方式は生物処理・機械処理・単体の3つ
●生ごみ量・臭い・虫の発生を減らせるのが大きなメリット
●音・維持費・使えるごみの制限がデメリット
●固い殻・繊維質・油類は投入NG
●後付けには自治体・管理規約の許可とシンク下スペースが必要
●長持ちさせるには日常の掃除が大切

ディスポーザとは?

ディスポーザーとは、キッチンのシンク下に設置する生ごみ処理設備のことです。ディスポーザーに投入された生ごみは、カッターもしくはハンマーなどで細かく破砕されて、水道水とともに下水に流される仕組みです。

アメリカの発明家により1927年に開発されたもので、日本では1970年代から製造・販売されるようになりました。生ごみ処理の手間を減らせるため、アメリカでは広く普及していますが、日本ではまだ普及率は高くありません。とはいえ、環境負荷を減らせる点が評価され、近年はマンションでの採用が増えています。

ディスポーザの種類と使い方

ディスポーザーには、蓋(ふた)スイッチ式連続投入式の2つの種類があります。

●蓋スイッチ式:生ごみを投入して蓋を閉めると運転がスタートするタイプ。
●連続投入式:スイッチを入れて運転させるタイプ。生ごみを連続して投入・処理できる。

ここでは、それぞれの特長と基本的な使い方をご紹介いたします。

蓋スイッチ式

蓋スイッチ式は、その名のとおりディスポーザーの蓋がスイッチになっており、生ごみを投入して蓋を閉めると運転がスタートする仕組みになっています。そのため、運転中に誤って手や異物が入ってしまうリスクが低く、安全性が高い点が大きな特長です。ただし、一回に投入・処理できる生ごみの量は少なめで、連続投入式に比べると生ごみの処理に手間はかかります。

【使い方】
1.ディスポーザーの蓋を外し、投入口から生ごみを入れる。
2.水栓を開いて水を流す。
3.投入口に蓋をしてスイッチを入れる(多くの製品は、蓋を一定の位置まで回すと運転が始まります)。
4.破砕が終わったらスイッチを切り、水を止める。

連続投入式

連続投入式は、自身でスイッチを入れて運転させるタイプで、生ごみを連続して投入・処理できるのが特長です。調理中や洗い物をしながらでも、同時に生ごみ処理ができるため、キッチンでの作業もスムーズです。ただし、運転中に誤って手や異物が入ってしまわないように注意する必要があります。

【使い方】
1.水を流す。
2.ディスポーザーのスイッチを入れる。
3.投入口から少しずつ生ごみを入れる。
4.破砕が終わったらスイッチを切り、水を止める。

ディスポーザが生ごみを処理する仕組み

生ごみ処理に便利なディスポーザーですが、実際に、そのゴミはどのように処理されるのでしょうか。ディスポーザーは、生ごみの処理方法によって、生物処理、機械処理、単体の3つに分かれます。それぞれの仕組みを詳しく見ていきましょう。

生物処理

生物処理は、破砕された生ごみを微生物の力で分解・浄化してから下水道へ流すタイプのディスポーザーです。環境へ与える影響が小さく、エコな処理方式として人気があります。新築マンションに導入されることが多く、全戸の生ごみが一つの大きな処理層に集められ、分解・浄化されたのち下水道に流されます。

ただし、このタイプのディスポーザーを取り付けるためには、建物敷地内に処理層の設置が必要です。大掛かりな工事になるため、後付けは難しい場合が多いでしょう

機械処理

機械処理は、破砕された生ごみを熱で乾燥させるタイプのディスポーザーです。乾燥後の生ごみは、自身で処分しなければいけません。可燃ごみとして捨てるのが一般的ですが、家庭菜園の肥料として利用しているケースもあるようです。

このタイプのディスポーザーは後付けしやすいのが特長です。ただし、お住まいの自治体やマンションの管理規約で、ディスポーザーの設置が認められている場合に限ります。これについては、記事の後半で詳しく解説します。

機械処理のディスポーザーは、シンク下に生ごみを処理する機械を設置します。そのため、後付けする場合はシンク下に広いスペースを確保する必要があり、収納スペースが少し狭くなる点はデメリットといえます。

単体

単体は、破砕された生ごみをそのまま下水道に流すタイプのディスポーザーです

細かく破砕されているとはいえ、生ごみをそのまま流すと、排水管や下水道管の詰まり、悪臭の原因になる恐れがあります。下水道管や処理場にも大きな負荷をかけることになり、環境への悪影響も懸念されます。そうした背景から、単体のディスポーザーは設置を認めていない自治体がほとんどです

ディスポーザのメリット

家事をラクにする設備として注目されているディスポーザー。導入することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

生ごみの量を減らせる

家庭から出るごみの中でも、高い割合を占めるのが生ごみです。ディスポーザーを使えば、生ごみの量を減らすことができ、結果として、家庭から出るごみ全体の量を削減できます。これが、ディスポーザーを導入する大きなメリットです。特に水分を含んだ生ごみは重くなるため、生ごみ量が少なくなれば、ごみ出しの負担も軽減されるでしょう。

また、キッチンの臭い対策として、生ごみを「袋に入れて口を縛ってから捨てている」「新聞紙に包んでから捨てている」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。生ごみを減らせば、臭い対策や三角コーナーの掃除といった手間も減らせます。

清潔を保ちやすくなる

生ごみを入れる三角コーナーは、キッチンの中でも特に汚れや臭いが発生しやすい場所の一つです。ディスポーザーを設置すると、三角コーナーを置く必要がなくなります。これにより、汚れや臭い、虫も発生しにくくなるでしょう。さらに、三角コーナーを撤去すると、シンクを広く使えるようになる、掃除がしやすくなるのもメリットです。

また、生ごみの臭いが気になるからと、勝手口の外にごみ箱を設置しているご家庭もあるでしょう。外にごみ箱を置いておくと、中に入っている生ごみの臭いに引き寄せられて、虫やネズミを呼び寄せてしまうことも。ディスポーザーで生ごみ量を減らせば、そうした心配も軽くなります。このように、清潔な状態を保ちやすくなるというのも、ディスポーザーのメリットです。

環境への負荷を軽くできる

生ごみは可燃ごみとして、収集後には焼却処理が行われるのが一般的です。しかし、水分を多く含む生ごみの焼却には大量のエネルギーを使います。生ごみの量が多ければ、それだけ使用するエネルギーも増え、二酸化炭素も多く排出されることになります。

しかし、ディスポーザーを使って家庭から出る生ごみの量を減らすことができれば、二酸化炭素の排出量の削減につながります。そのためディスポーザーは、近年は環境保護の観点からも注目されています。

ディスポーザのデメリット

ディスポーザーは、家事の負担や環境への負荷を軽減できる、とても便利な設備です。とはいえ、メリットばかりではありません。ディスポーザーのデメリットとして代表的なものをまとめました。

音や振動が気になる

ディスポーザーは、運転中にごみを粉砕する際の音や振動が発生します。人によっては、生活の中でディスポーザーの音や振動が気になって、ストレスを感じる可能性があるでしょう。また、家の中だけでなく近隣にも響く恐れがありますので、使用する時間帯にも配慮が必要です。掃除機や洗濯機を使用する時と同じように、早朝や夜間は避けるのが無難です。

最近は、製品の静音・防振化も進んでいますので、特に集合住宅にお住まいの方は、静音性を重視した設備を選ぶと安心です。

定期的にメンテナンス・交換が必要

ディスポーザー本体と処理層は、定期的なメンテナンスが必要です。そのため、定期的に費用がかかるという点もデメリットとして挙げられます。ディスポーザー付きのマンションであれば、メンテナンス費用が管理費・共益費に加算されている場合がほとんどです。

また、ディスポーザーは一生使えるものではありませんので、適切な時期に交換する必要がありますが、当然交換にも費用がかかります。一般的にいわれているディスポーザーの寿命は7~10年です。これ以上使用できる場合もありますが、ディスポーザーにはモーターが使われているため、劣化した状態で使用すると火災の原因になる可能性があります。特に不具合がなくても、適度な時期に交換したほうがよいでしょう。交換費用を抑えるために自分でディスポーザーを付け替える方もいるようですが、難しい作業なので、専門の業者に依頼するのが基本です。

処理できない生ごみもある

ディスポーザーは、すべての生ごみを処理できるわけではありません。ディスポーザーを導入すると、生ごみをディスポーザーが処理できるものとできないものに分ける作業が必要になります。初めのうちは、これを手間に感じる可能性があるでしょう。

また、ディスポーザーは、適切な使い方をしないと詰まりや漏水が発生する恐れもありますので、慣れるまでは特に注意が必要です。処理できない生ごみ以外にも、誤ってディスポーザーの中に入れてしまわないように注意が必要です。次項で詳しく紹介します。

維持にコストがかかる

ディスポーザーは、電気で動かす設備です。また、ディスポーザーで生ごみの処理する際は、水道水を使用します。ディスポーザーを導入すると、電気と水道の使用量が増えるため、電気代と水道代が高くなる可能性があります

どれくらい高くなるかは製品や使用頻度によっても変わりますが、電気代・水道代とも1ヶ月数百円程度が目安。月単位で見ると大きな負担ではありませんが、長期的には費用がかかる設備です。

また、ディスポーザーを設置すると特別な排水処理が必要です。そのため、水道代に下水道使用料を上乗せしている自治体もあります。ディスポーザーの設置を検討しているなら、お住いの地域にそのようなルールが設けられていないかどうかを確認しておきましょう。

加えて、粉砕力が低下するといった故障が発生した場合、修理費も必要です。

ディスポーザに入れてよいもの・ダメなもの

ディスポーザーに入れると故障の原因になってしまうものもあります。入れてよいものとダメなものをまとめました。

ディスポーザに入れてよいもの

ディスポーザーが破砕・処理できるのは、生ごみの中でも「やわらかい食品くず」だけです。具体的には、野菜果物、海藻類、肉・魚、ご飯・麺類・パン などが挙げられます。

ただ、「やわらかい食品くず」でも、サイズが大きいと処理しきれない場合がありますので、細かくしてからディスポーザーに投入するようにしてください。

また、粘り気があるご飯や、タコ・イカのように弾力があるものは破砕しにくいため、少量に分けて投入するとよいでしょう。

ディスポーザに入れてはダメなもの

ディスポーザーが破砕・処理できない生ごみは、ディスポーザーの中に入れないようにしましょう。誤って投入すると、ディスポーザー本体の不具合や故障、排水管の詰まりなどにつながる可能性があります。具体的に入れてはいけない生ごみとしては、以下が挙げられます。

・固い生ごみ(カニ類の殻、貝殻、大きな骨、種 など)
・繊維質が強いもの(トウモロコシの皮、タケノコの皮 など)
・油(天ぷら油、牛脂 など)

その他、以下のようなものを投入すると、ディスポーザー本体や排水管を傷めてしまう恐れがあります。うっかり流してしまわないように注意しましょう。

・食品くず以外のごみ(つまようじ、わりばし、スプーン、フォーク、アルミホイル など)
・熱いお湯・汁(60度以上)
・塩素系・酸性・アルカリ性の洗剤

なお、これらはあくまでも一例であり、製品によっても投入してよいもの・ダメなものが異なります。ディスポーザーは、必ず取扱説明書を確認したうえで正しく使用するようにしてください。

ディスポーザは後付けできる?

家事の負担を減らすために、ディスポーザーの後付けを検討されている家庭もあるのではないでしょうか。ディスポーザーの後付けを考えているのであれば、

① 自治体・管理規約が許可しているか
② シンク下に十分なスペースがあるか

の2点を確認しておきましょう。どちらも事前確認が必要なため、まずは専門業者に相談するとスムーズです。チェックが必要なポイントについてまとめました。

自治体・管理規約の許可が必要なわけ

ディスポーザーは、特別な排水処理を必要とします。下水道や合併処理浄化槽に負荷がかかることから、設置を禁止している自治体もあります。設置が認められている場合でも、届出をしなくてはなりません

また、マンションの場合は、管理規約でディスポーザーの設置を禁止としているケースもあります。

ディスポーザーは、個人の判断で勝手に取り付けられるものではありません。まずはお住いの地域やマンションで設置が許可されているかどうか、許可されている場合はどのような手続きや届け出が必要なのか、しっかり確認をしておきましょう。

機械処理のディスポーザーはシンク下にスペースが必要

生物処理のディスポーザーは、処理槽の設置に大かがりな工事が必要なため、後付けが難しい場合がほとんどです。そのため、後付けの場合、機械処理のディスポーザーを選択することが多いでしょう。

機械処理のディスポーザーを後付けするには、シンク下にディスポーザー本体と生ごみを処理する機械を設置するスペースを確保する必要があります。十分なスペースがあっても形状的に設置が難しい場合もあります。後付けを検討しているなら、まずは専門の業者に相談されることをおすすめします。

ディスポーザの使用をやめたい!そんな時どうしたらいいの?

先にもお伝えしたように、ディスポーザーを一度設置すると、簡単に撤去できるものではありません。

電源を切っておけば使用できなくなりますが、その間も排水は流れるため、細かな部品に汚れが付着して、悪臭が発生したり、排水管が詰まったりするリスクもあります。そのため、使っていない間もお手入れは必要です。

取り外しを考えているのであれば、安全面を考えるうえで必ず専門業者に依頼し、キッチンの排水まわりを整備しなおしましょう。

ディスポーザはお手入れが肝心!普段のお掃除にバイオサイクルがおすすめ

ディスポーザーを長持ちさせるには、普段のお掃除が欠かせません。放置してしまうと、内部に食品カスや汚れが付着し、臭いや故障の原因になることがあります。小まめなお掃除で、清潔な状態を保ちましょう。

ディスポーザーを長持ちさせるには“日々のお手入れ”が欠かせません。とはいえ、忙しいとつい後回しにしがちですよね。そんな時に便利なのが、天然由来のバイオ菌で汚れを落とす、ウッディラボの「バイオサイクル ディスポーザー用」がおすすめです。「バイオサイクル ディスポーザー用」は、天然のバイオ菌の力を活用したエシカル洗剤です。普段のお掃除は、洗剤液をブラシにつけてディスポーザー内部を優しくこすり洗いするだけ。また、キッチンを使ったあとに排水口に垂らすだけで、汚れや臭いが付きにくくなるという効果もあります。「ディスポーザー用」という名前ですが、ディスポーザーの付いていない排水口やシンクの掃除にも使用できます。

ディスポーザーの掃除の手順や、汚れや臭いの予防法については、以下の記事もご覧ください。

ディスポーザーがあれば、家事がラクになる

ディスポーザーがあれば、家庭から出る生ごみの量を減らせます。また、三角コーナーが不要になるため、シンクを広く使えるようになり、掃除もしやすくなるのがうれしいところ。ただし、ディスポーザーにはデメリットもあります。設置してから「やっぱり使いづらい」と感じたとしても、簡単に撤去できるものではありません。導入は、慎重に検討しましょう。また、そもそも後付けできない場合もありますので、導入を前向きに検討している方は、まず自治体のルールやマンションの管理規約を確認してみてください。

woody-lab.uo

3,091,575 views

ウッディラボのルーツは、1947年創業の家具屋。木に携わり、木のおかげでこれまで事業を続けてきました。もっと木の良さを活かし、お客様の役に立ちたい。そんな思...

プロフィール

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。