カビ特有のイヤな臭いを取りたい!——臭いから考えるカビ対策

ちょっと油断をすると、所かまわず生えてしまうカビ。食材だけでなく、服や家具にまでカビが生えてしまうと、残念な気持ちになりますよね。しかも、一度、カビが生えると、不快な臭いがついてしまい、お気に入りのアイテムが台無しになってしまいます。今回は、カビが発する臭いに注目して、その“もと”を探り、臭いを取り除く方法から、カビを寄せ付けないための予防法まで詳しく解説します。

カビそのものは臭くない!? カビの臭いの“もと”とは

お風呂やトイレ、キッチンなど、家の中でカビを見てしまうと、気分が下がってしまうもの。ときには、服やバッグ、靴、クローゼットなど、普段使いのアイテムまでカビが広がり、対処に困ってしまいます。一方で、普段なかなか意識することはありませんが、カビは私たちの生活に恩恵をもたらすことがあります。例えば、味噌やしょうゆ、日本酒やワイン、チーズといった発酵食品はカビの働きがあってこその恵み。そう考えると、なんだかカビって不思議な存在ですよね。負のイメージばかりが先行しがちですが、カビも「生物の一種」であるという視点から見ると、特有の臭いを発する理由も見えてきます。

カビと人は同じ仲間!? そもそも、カビとは何か

そもそもカビって何なのでしょうか。まず、カビという呼び名自体が俗称であり、専門的には「真菌(もしくは菌類)」といいます。真菌は“菌”という感じが使われているせいか、細菌の一種に思われがちです。しかし、実はまったくの別物。

細菌は、細胞の中にDNAがむき出しの状態で存在する「原核生物」ですが、一方の真菌は「真核生物」です。真核生物とは、細胞内でDNAが核膜に包まれて存在し、ミトコンドリアや小胞体といった小器官も持つ生物の総称。私たち人間も真核生物の一種であり、大きく分類では、カビもヒトは同じ仲間なのです。

しかし、カビの生育は、人間とは違い、植物に似ています。カビの胞子は植物の種のようなもので、一度、親となるカビから出た後は、ゆっくりと空気中を漂っています。胞子のままであればそのうち死滅しますが、あらゆる物にくっつく性質を持っているため、好みの場所に定着して住み家を見つけます。カビが好むのは、「気温20〜30℃」「湿度70%以上」「ホコリやフケといった栄養分がある」という3つの条件がそろうところ。そこで発芽し、菌糸を伸ばし、増殖していきます。胞子そのものは、顕微鏡でやっと見えるほど小さなものです。その後、増殖するにつれて「カビが生えている」と認識できるほどになります。

カビ臭の発生メカニズム

目視できるほどに育っていても、カビが動くようなことはなく、繁殖する様子がすぐに目に見えてわかるわけではありません。しかし、生きて成長していれば、ちょっとした変化が現れます。そうした変化の1つが、あの臭いです。

カビは生育する過程で、「3-オクタノール」や「二硫化ジメチル」といった揮発性有機化合物を生成します。それこそが、カビ臭さの正体。あの特有の匂いは、カビが生きて活動しているからこそ出る、代謝の副産物だったのです。

ほかにも、墨汁のような臭いと表現される「2-メチルイソボルネオール」、土臭いまたは泥臭いと表現される「ジェオスミン」といった代表的な“臭いのもと”となる物質があり、どちらも、水道水がカビ臭くなる原因となります。カビの臭いは不快なものですが、それは同時に、カビが元気に活動している証です。カビを取り除きたい人間にとっては、臭いを感じたら、カビ対策をすべきサインとして理解しておくと良いでしょう。

ジャンル別!カビの臭いの取り方

カビ特有の臭いは、カビが生きている証拠。これ以上、繁殖される前に、早めの対処を行いましょう。臭いがなくなったからといって、カビが消えるわけではありません。ですが、服やバッグなどにカビの臭いが残っていると、使うたびに嫌な気分になってしまうでしょう。カビが生えやすく、臭いも気になるクローゼットと下駄箱に注目し、収納アイテムについたカビの臭いを取る方法をまとめました。

クローゼットのカビ臭対策

クローゼットは締め切っていることが多く、空気がこもりがちです。そんなところに、脱いだ服をそのまま収納すれば、残った湿気や汚れをエサにカビが生えてしまうことに! また、クローゼット内部にカビが生えてしまえば、収納した服やバッグなどに広がってしまうかもしれません。もし、クローゼットからカビ臭を感じたら、内部の掃除を始めましょう。カビの広がりを把握するために、まずは、クローゼットの中のモノを全部取り出します。服やバッグにカビが移っていないかもチェックしましょう。

次に、アルコール除菌スプレーを使って、クローゼット内を掃除します。アルコールは除菌効果に優れているうえ、素材を傷めにくのもうれしいポイントです。お掃除の仕方は以下のとおりです。

  1. 乾いた雑巾などにアルコール除菌スプレーをよく吹きつける
  2. カビが生えていたら、その周囲から中心に向かって拭き取る
  3. しばらく扉を開けて、よく換気する

ただし、カビを発見しても、カビに直接スプレーをかけるのはNG。スプレーの勢いで胞子が舞い上がってしまう恐れがあり、周囲にカビが残ってしまうかもしれません。カビが生えている場所よりも広く、できればクローゼット内をくまなく拭いておくとよいでしょう。

洋服やバッグにまでカビが生えてしまったり、臭いがついていたりする場合には、以下の方法を試してみましょう。

  • 洋服
    カビは見えないけど、服にカビの臭いがついている場合には、アルコール除菌スプレーを服に吹きかけ、外でしっかり干して乾燥させます。それだけで臭いが落ちることも。ただし、素材によってはアルコールによって色落ちしたり、生地が傷んだりする可能性があります。大切な衣類を取り扱う場合には注意が必要です。
  • バッグ
    革製のバッグは、布製やビニール製と比べて、カビが生えやすいといわれています。理由は、革製品自体に含まれている油脂や、表面に残ったお手入れ用のクリームなどが、カビのエサとなってしまうから。カビは見えないけれど、なんとなく臭う……というときは、風通しのいい場所で陰干ししてみましょう。とてもシンプルですが、革に優しく効果も期待できるおすすめの方法です。

下駄箱のカビ臭対策

下駄箱も、カビが発生しやすい場所の1つ。内部の掃除方法は、クローゼットと同じです。アルコール除菌スプレーを使って、きれいに拭き取りましょう。さらにプラスαで実施したいのが、靴の陰干し。下駄箱の中の靴を全部出したら、風通しのいい場所で半日ほど陰干しをしましょう。汗で湿気がこもってしまう靴の中をしっかり乾かすと、靴自体のカビ対策になります。


  • 革靴は、革製のバッグと同様に、カビが生えやすいアイテムです。風通しのいい場所で定期的に陰干しを行いましょう。スニーカーなど丸洗いできる素材であれば、酸素系漂白剤につけ置きしてから洗うのがおすすめです。

もうカビ臭は発生させない!日頃からカビを予防するためのポイント

カビが生きている限り、臭いももれなくついてきます。逆に言えば、カビが生えなければ、あのイヤな臭いが発生することはありません。カビの臭いを出さないためには、カビ予防を講じることが何よりの対策です。カビ臭さの根本的な解決策は、「カビを生えさえない」ということに尽きます。シンプルながら効果の高い2つの方法とともに、おすすめのカビ対策グッズをご紹介します。

予防法① こまめな換気

換気は、新鮮な空気を取り込むだけでなく、湿度を下げる働きもあります。カビの好きな湿気を減らし、空気中を漂っている胞子を追い払うこともできる換気は、カビ対策に欠かせない方法です。

<カビ対策としての換気のポイント>

  • 春夏は12〜16時、秋冬は12〜14時の間に行う
    湿気を逃すには、外の湿度が低いときに換気することが大切です。 一日の中で湿度が低いといわれている時間を狙うといいでしょう。
  • 1回5〜10分くらいを目安に行う
    理想は、短時間の換気を数回に分けて行うこと。1回5分ほどの換気でも効果は期待できます。
  • 空気の通り道をつくるために、2カ所の窓を開ける
    1つの窓を大きく開けても空気の流れはさほど変わりません。効率のよい換気には、入口と出口の2カ所が必要になります。入口は狭く(5〜15㎝ほど)、出口は広めに開けるのがポイントです。

予防法② こまめに掃除する

家の汚れはカビの大好物。こまめな掃除は、カビの栄養源を断つことにつながります。忙しい日は、目立ったホコリだけでも取るようにして、汚れをためないことを心がけて生活してみましょう。カビが喜ぶ「湿気」と「栄養」を与えない——この2点に気をつけるだけで、カビの発生は抑えられるはずです。

クローゼットや下駄箱はもちろん、部屋にカビを映えさせないことが大切です。家のどこかにカビが生えれば、そこから胞子が飛んできて広がってしまうことも。気になる場所ごとに、カビ対策となるお掃除を行いましょう。

置くだけ簡単!防カビもできるダニよけアイテム

植物の中には、虫が嫌がる香りを持つものがあります。ウッディラボの「ダニよけシリカ(アクアグリーンの香り)」は、そんな天然由来の香りの力を利用したダニよけアイテムです。さらに、防カビ効果、消臭効果、除湿効果がプラスされているから、一石二鳥! ダニよけと防カビがひとつで簡単。殺虫剤・忌避剤等の有害成分を使用せず、天然成分にこだわって開発されました。また、使用後は半日程度天日干しをすれば、除湿剤として繰り返し使うこともできます。

小さな分包タイプなので、クローゼットと下駄箱はもちろん、ベッド下やシンク下など、使える場所は多岐にわたります。心地のいいアクアグリーンの香りに包まれながら、簡単にカビ+ダニ対策ができちゃいますよ!

カビの臭いを消すには、カビの発生を防ぐことが大切

カビというと、体に害を及ぼす恐れのある厄介者のイメージがあります。でも、臭いに注目してみると、カビは生き物なのだと再認識させられます。生きているからこそ、あのイヤ〜な臭いが出てしまうのです。気になるカビ臭への根本的な解決策は「カビを生えさせないこと」。そのためには、カビの生育を助ける湿気と栄養を断たなければなりません。「こまめな換気」と「こまめな掃除」を心がけて、カビの発生を防ぎ、カビの臭いを原因から解消しましょう!

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ウッディラボのルーツは、1947年創業の家具屋。木に携わり、木のおかげでこれまで事業を続けてきました。もっと木の良さを活かし、お客様の役に立ちたい。そんな思...

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